WELCOME TO THE BALL / VICIOUS RUMORS

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 4thアルバム。方向的には、アメリカのバンドとしては珍しい、 様式美系のヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。ダークさも 感じさせるダイナミズム溢れるもので、全体的にアップ・テンポを 中心にしているため、スピード感も良く出ている。非常に ヘヴィ・メタルらしいヘヴィ・メタルと言える作品で、 ファッション中心のアメリカでは、非常に硬派な印象を与える 作品と言えるだろう。流行らない音楽ではあるが、こう言うものを 真面目に取り組んでいる姿勢が嬉しいし、出来も中々のものだ。 [83]

PLUG IN AND HANG ONーLIVE IN TOKYOー / VICIOUS RUMORS

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた ライヴ盤。1992年に行われた日本での公演の模様を収めたものだ。 アメリカのバンドとしては珍しい程、正統派中の正統派と言える ヘヴィ・メタルを聴かせてくれるバンドだが、その名に恥じない 演奏を聴かせてくれている事もこのライヴを聴けば判る。ライヴの 臨場感もあるし、選曲もベストに近いし、彼らのダイナミズムさが 感じられ、彼らの持ち味が良く出ていて、聴き 応えがあるものとなっている。惜しむらくはわずか8曲しか 収められていない事で、せめてもう少し長い内容にして 欲しかった。[82]

WORD OF MOUTH / VICIOUS RUMORS

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 3年振りとなる5thアルバム。これまでアメリカでは珍しい正統派 ヘヴィ・メタルを聴かせてくれていたが、この作品ではやや 方向性の変化が見られる。アップ・テンポのダイナミズムさ溢れる 前作と比べると、ややミドル・テンポの楽曲が多くなり、より モダンでヘヴィな感じのする作品となっている。そう言う 意味では、ややアメリカナイズされて来たと言う感じで、 これまでの無骨さがなく、そつなくやっているのだが、その分 平凡な作品となってしまっている。決して悪い作品ではないが、 WELCOME TO THE BALLと比べると物足りなさを感じるアルバムだ。 [80]

CULTURE KILLED THE NATIVE / VICTORY

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 2年振りの4thアルバム。ドイツのバンドとしては、より アメリカナイズされた音楽性で、本国だけでなくアメリカでの 活動も目立ったが、この作品ではよりアメリカ的な色合いの濃い ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。その分叙情性は減退し、 よりキャッチーさを前面に出したアルバムとなっている。この 作品よりボーカリストがFERNANDO GARCIAに交代しており、彼の 声質がそう言った感をより強くしている。それだけ楽曲は平凡に 感じる部分もあるものの、On The Loose等は中々の佳曲で、決して 悪くない作品だ。[81]

EXPOSED / VINCE NEIL

元MOTLEY CRUEのアメリカ人シンガーによる1993年に リリースされた初のソロ・アルバム。MOTLEY CRUEが彼の脱退で 大きく変化を感じさせたのに大して、この作品はどちらかと言うと MOTLEY CRUEっぽさを残した作品と言って良いだろう。ただ、より メロディが前面に押し出されており、その分MOTLEY CRUEでの ハード・ロックンロールの破天荒さとのりが今ひとつ 感じられない。言わばワイルドさを彼のボーカルに全て 頼ってしまっている感じで、MOTLEY CRUEの場合、メンバー個々の 力量と言うより、そのコラボレーションの妙が上手くはまった バンドだと感じさせる作品だ。[82]

FALL BABYLON FALL / VINI DOMINE

スウェーデンのクリスチャン・メタル・バンドの1993年に リリースされたデビュー盤。この手のバンドとしてはダークさも 感じさせる様なドラマティックなパワー・メタルが ベースとなっている。ミドル・テンポ中心で、CANDLEMASSの影響が 感じられる、ドゥーミィで荘厳なエッセンスの感じられる作品に 仕上がっている。オーセンティックで緊迫感があるが、楽曲の出来 自体は平凡で、残念ながら今一つ面白みに欠ける。 FREDRIK OHLSSONのボーカルも、高音が出るのは良いとしても、 やや不安定さが感じられる部分もあり、やりたい事は判るがそれを 実現出来ているとは言い難い。[78]

ALL SYSTEMS GO / VINNIE VINCENT INVASION

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 2年振りとなる2ndアルバム。KISSのギタリスト、VINNIE VINCENTを 中心としたバンドだが、音楽的にはもっとストレートな アメリカン・ヘヴィ・メタルと言ったところだろう。 ボーカリストには、ROBERT FLEISCHMANに代わって、後に SLAUGHTERを結成してブレイクする事になるMARK SLAUGHTERが 加入している。MARK SLAUGHTERのあのオーセンティックな ボーカル・スタイルはこのときに既に完成しており、そのまま SLAUGHTERのアルバムに入っていてもおかしくない楽曲も数多い。 [82]

THEATRE OF FATE / VIPER

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。音楽的にはジャーマン・パワー・メタルの 影響を受けたものと言えるだろう。ボーカリストのANDRE MATOSが 後に結成するANGRAに近いところがある。ただ、ギター・メロディ 等はIRON MAIDENを思い起こさせる部分もある。そう言った 音楽的な流れを汲みながらも、アコースティック・ギターや キーボードを大胆に取り入れている辺りに、彼らの独自性を 感じさせる。ANDRE MATOSのボーカルも、ANGRAでのファルセットを 多用したものとは違い、もっとストレートに歌っていて好感が 持てる。[83]

EVOLUTION / VIPER

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3年振りの3rdアルバム。バンドの支柱の一角を担っていた ボーカリストのANDRE MATOSが脱退し、ベーシストの PIT PASSARELLがボーカリストを兼任している。その 所為もあってか、これまでと比べると音楽性の変化が見られる。 前作ではジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスが強く 感じられたが、よりストレートなヘヴィ・メタルとなっていると 言って良いだろう。ANDRE MATOSはキーボードも兼任していた 訳で、キーボードやアコースティック・ギターと言った、この バンドでクラシカルな部分を担当していたパートが、これまでの 様な使い方をされなくなっただけに、そう言った感はより一層強く 感じられる。PIT PASSARELLのボーカルは特にどうと 言うものではないが、ANDRE MATOSの声質が特に 印象的だっただけに平凡に感じられるだろう。[80]

PRAY FOR RAIN / VIRGINIA VALUE

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。JENS WEINERTのキーボードを前面に押し出した、 叙情的なメロディのヘヴィ・メタルで、楽曲自体はポップな憂いを 帯びたものだ。やや芋臭さも感じる楽曲で、もう少しアレンジ 面での成長が必要だが、センス自体は悪くない。むしろ一番 問題なのはボーカルのPETER TIETJENで、透った 声質ではあるものの、下手上手と言うにしても音程が 合っているとは到底言い難く、折角他が良くてもこれでは興ざめと 言うものだろう。取り敢えずもっと良いボーカルを探すところから 始めないと、受け入れられないのではないだろうか。[77]

LIFE AMONG THE RUINS / VIRGIN STEELE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 4年振りの5thアルバム。方向的にはアメリカらしい朗らかで 叙情的なヘヴィ・メタルなのだが、芋臭さも感じられる様な 無骨さのあるもので、特にDAVID DeFEISのしゃがれたボーカルが そう言った感を強くしている。ただそう言う無骨さがパワフルさを 出しているし、器用な感じがしないのにも好ましさを 感じさせてくれる。とは言え、楽曲自体は飛び抜けたものはなく、 全体的に平均的と言った感じで今一つ面白みに欠けるのも確かだ。 決して悪くはないのだが、DAVID DeFEISのボーカル以外、あまり 印象に残らない。[79]

THE VERY BEST OF VICTORY / VICTORY

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた ベスト盤。ベスト盤とは言っても、実際は第2期以降の楽曲ばかり 集めたもので、かなりアメリカナイズされた楽曲を中心に 構成されている。ベスト・アルバムではあるので、On The Loose 等、確かにそれ以降の曲としては、大体レベルが高いのは確かだ。 しかし、それにしても、初期の珠玉のメロディアス・ハードの ナンバーが外されているのは非常に寂しい。現状と、統一性を 考えてこうなったのだろうが、せめて1、2曲は初期のものを入れて 欲しかった。第2期以降だけが好きなファンなら良いかも 知れないが、実際にはそういうファンはあまりいないだろう。[83]

TEMPLES OF GOLD / VICTORY

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 5thアルバム。ボーカリストがFERNANDO GARCIAに交代して 第二弾となるアルバムだ。方向的には前作の延長線上で、明らかに アメリカン・マーケットを意識したメロディアスな ヘヴィ・メタルに仕上がっている。洗練された泣きのメロディは 派手さはないが、さすがにヨーロッパのバンドと思わせる、 メロディ・センスの良さを見せている。しかしその一方で、ノリを 持たせるべき曲が、洗練されてるが故にかえって勢いがないような 気がする。全体的にそれなりに良く出来てはいるが、これと 言ったものもないのは残念だ。[82]

VIXEN / VIXEN

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。女性4人組によるL.A.メタル後期のバンドで、元々は L.A.のバンドではなかったが、L.A.に活動拠点を移しての デビューとなった。楽曲的には、これと言って飛び 抜けたものはないが、粒は揃っている。ポップ・センス溢れる キャッチーな明るいナンバーは、めりはりがあって、深味はないが 聴きやすくて悪くない出来だ。ハード・ロックというよりは、 HEARTの様なもっと普通のロックっぽい作りで、シングル向きに 作って様な楽曲が多い。レディースのメタル・バンドと侮れない レベルにあるだけの出来だ。[82]

REV IT UP / VIXEN

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 2ndアルバム。L.A.のレディース・メタル・バンドだが、これが 中々侮れない存在だ。デビュー作は、キャッチーな ハード・ロックで成功とまでは言い切れないが、Cryin'の スマッシュ・ヒットもあり注目株と言って良い存在だった。 今作では前作でのキャッチーなアメリカン・ハード・ロック路線を そのまま引き継いでおり、幾分ハードに仕上げたと言って 良いだろう。全曲奇麗にまとまっていて、インパクトはないものの より完成度の高い、良質のハード・ロック作品に仕上がっている。 [84]

CARVED IN STONE / VINCE NEIL

アメリカのハード・ロック・バンド、MOTLEY CRUEの 元ボーカリストによる2ndソロ・アルバム。1stアルバムでは MOTLEY CRUEの音楽を継承した、 ハード・ロックンロール・アルバムを作っていて、楽曲は 今一つではあったが、十分聴ける内容だった。今作ではこれらの 要素を捨てさり、大きく方向転換している。MOTLEY CRUE的な 要素はなく、ミクスチャー的でモダン・ヘヴィネスのような メロディが中心になっている。MOTLEY CRUEというバンドは個々の 能力を120%引き出せたユニットであり、VINCE NEIL自身、彼の力を フルに発揮出来る場所であったのだろう。コンポーザーとして 自身を生かす能力があるならばともかく、今のままなら苦しい。 MOTLEYへの復帰という噂も聴くが、それが結構正解かも知れない。 [73]

CHEQUERED PAST / VILLAIN

半年前に夭折したアメリカのヘヴィ・メタル・バンド、 VICIOUS RUMORSのシンガー、CARL ALBERTがそれ以前在籍していた ヘヴィ・メタル・バンドの再結成第一弾となるアルバム。 VICIOUS RUMORS同様に、いまや珍しくなった剛直な ヘヴィ・メタルと言う感じで、逆に貴重な存在だと言って良い。 VICIOUS RUMORSと比べるとよりメロディ重視な感じで ドラマティックだが、楽曲自体はVICIOUS RUMORSの最新アルバム 同様、今一歩という感じだ。音は生々しいがチープな 感はいがめないし、プロデュースが良ければもう少し評価 出来たろうが。[83]

THE MARRIAGE OF HEAVEN AND HELL-PART ONE / VIRGIN STEELE

ニュー・ヨークのB級ベテラン・ヘヴィ・メタル・バンドの アルバム。ボーカルの枯れ方といい、B級臭さは相変わらずの 内容だが、DAVID DeFERISのセルフ・プロデュースが功を 奏したのか、今作は楽曲の纏まりが結構良い。キーボードの絡み 具合いが思ったより絶妙で、曲の出来、不出来はあるものの、 このバンドとしてはかなり評価出来る作品だ。本作は二部構成の 第一部ということなので、同様の作品作りをするのであれば、次の アルバムもそれなりに期待は出来るだろう。DAVID DeFERISの ボーカルは少し灰汁が強いので、これが聴けるかどうかで大きく 変わるだろうが。[83]

ESCAPISM / VITAL ESCAPE

イギリスのハード・ロック・バンドのデビュー盤。ボーカリストの JACK COOKEは中々情感豊かな歌声を聴かせてくれており、もう少し 声をしゃがれさせるとDANIEL BOWESという感じがする。 ではあるが、楽曲的にはTHUNDERの様なものではなく、むしろ もっとAOR風のアメリカン・ハード・ロックで、ボーカルの ソウルフルさとの落差に少し浮いた感じがするが、これはこれで 結構面白いと思える作品だ。少しサウンドが軽く感じるし、これと 言ったものはないものの、楽曲の出来もそれなりに良く 出来ていて、面白い存在ではある。[83]

WHERE DO WE GO FROM HERE / VINNIE KAY

オランダのハード・ポップ・シンガー兼ギタリストの ソロ・アルバム。VALENTINEの来日公演でもツアーに ギタリストとして参加してプレイしている。最近、メロディアス 系としては質の高さを誇るLONG ISLAND Recordsからの 発売にたがわない素晴らしい出来だ。ドラムは打ち込みでそれ 以外のパートは全て自分でやった様だが、それ程気にならない。 音質的にはいまいちな感もあるが、とにかく楽曲の出来が良くて、 ハード・ポップとしては非常に秀逸な作品だ。メロディ重視の 優しく叙情的なサウンドは甘美で素晴らしい。[89]

VINCI / VINCI

ドイツのハード・ロック・プロジェクトのアルバム。ボーカルの WOLFGANG RIEGELと全ての楽器を担当しているTOM BLENDINGERと 言う2人組だ。WOLFGANG RIEGELのボーカルは、ROBIN McAULEYを ワイルドにした感じで、ややガラガラ声のパワフルな歌唱を 聴かせてくれている。楽曲はアメリカ的でポップな ハード・ロックと言うところだが、そう言うメインのパートよりも 間奏に入って来るおかずの方が面白い。歌メロ自体は取りたてて どうと言う事のものでもないのだが、バックの演奏の入れ方等には 工夫が感じられるのだ。ボーカル・ライン自体も結構聴けるので、 もっと全体的に練れれば良くなるのではないだろうか。[78]

THE MARRIAGE OF HEAVEN AND HELL-PART TWO / VIRGIN STEELE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。前作に続く コンセプト・アルバムで、併せて2部構成になっている 訳ではあるが、楽曲、楽曲が独立して聴けて、 コンセプト・アルバムと言う部分を抜きにして聴けるアルバムに 仕上がっている。ドラマティックで力強いサウンドながら扇情感を 持った楽曲は美しいし、キーボードもこれにうまく絡んでおり、 叙情的で湿った感じが良く出ている。このバンドの場合、むしろ 問題点はボーカリストのDAVID DeFEISのしゃがれた声質で、良くも 悪くもこれが特徴的過ぎる事だろう。枯れたパワーのある声は 楽曲に力強さを出させているが、同時に叙情的な楽曲とは異質感を 感じるはめになっている。[85]

VICTOR / VICTOR

カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、RUSHの ギタリスト、ALEX LIFESONによる初のソロ・アルバム。RUSHとは また違った世界を見せているがRUSHっぽさが全くない訳でもない。 Promise等RUSHっぽいメロディが随所に出ていていかにもという 曲だが、RUSHよりはダークでヘヴィだ。Start Todayで見せる QUEENSRYCHEのGonna Get Close To Youの作者である、 女性シンガーDALBELLOがとっているが、非常にパワフルで凄い。 それ以外では主にI MOTHER EARTHのEDWINがボーカルだが、 DALBELLOのインパクトの強さに影が薄い。RUSHに比べると特異性は それほど強くない。[81]

BEHIND THE MASK / VIGILANCE

ドイツのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのデビュー作。 楽曲は明らかにDREAM THEATERを意識した曲調で、より ストレートで聴き易い作風になっている。ギター・ラインなどは ヘヴィ・メタルよりだが、キーボードはむしろ幻想的で プログレッシヴ・ロックっぽいし、ボーカルの FRANK OTTO CONRADはハイトーンも良く伸びているが、独特の 歌唱がまた違った雰囲気を醸し出している。アルバム自体には それなりの個性も見えてくるが、曲同士での変化があまり 見えてこないので、どうしても冗長に感じるし、途中で 飽きてくる。[76]

INTO COLD DARKNESS / VITAL REMAINS

アメリカのブラック・メタル・バンドの4年振りの2ndアルバム。 方向的には、ブラック・メタル的な荒涼感を感じさせる様な メロディはあまり主流ではなく、変則的な進行の作品に 仕上がっている。ブラスト・ビートも用いたブルータルな サウンドで、CELTIC FROST風のダークなスラッシュ・メタルと 言った部分もあるが、この手の音楽を嗜好する人でなければ、 あまり受け付けないだろう。JEFF GRUSLINのボーカルは咆哮型の デス・ボイスに近く、強烈だ。全体的に楽曲、演奏に関しては、 この手としてはしっかりと作られているという印象があり、決して 悪い出来ではない。[78]

LIVE LINE / VICTORY

ドイツのメロディアス・ハード・ロック・バンドの1994年に リリースされた2枚組の2枚目のライヴ・アルバム。前回の ライヴ盤、THAT'S LIVEではその後JOHN SYKESとバンドを組む 事になる初代ボーカリストのCHARLIE HUNN時代のものだった。 今作では、方向的に若干変化があった、PEDRO SCHEMMにボーカルが 交代した後で、選曲もそう言った方向に沿っており、好対称な 作品と言えるだろう。アメリカナイズされた今作と、前作で どちらが良かったかは、リスナーの好みによって意見が 分かれるかも知れないが、どちらも出来の良い作品で、彼等の ライヴ・パフォーマンス能力の高さを見せてくれている作品だ。 [85]

OUT OF NOWHERE / VINNIE MOORE

アメリカ人ギタリストによるソロ作品としては久々の 5年振りとなる4thアルバム。方向的には、説明するまでもなく、 いわゆるギター・インストルゥメンタル・アルバムと 言うやつなのだが、この手にありがちな、 ギター・テクニックだけで突っ走ったと言う様な内容に 終わっておらず、楽曲もメロディアスでそれ単体で割と楽しめる 作品に仕上がっており、中々良く出来ている。前作に比べても バラエティに富んでいて、楽曲に面白味が出ており、彼の音楽的な 幅の広がりを感じさせるアルバムとなっている。[83]

HIGH DEFINITION / VITALIJ KUPRIJ

ARTENSIONの中心人物であるウクライナ人キーボードによる初の ソロ・アルバム。内容的にはいわゆる インストルゥーメンタル・アルバムなのだが、ギタリストに テクニシャンのGREG HOWEを迎え、キーボード一辺倒と言う 感じにはなっていないところが好感を持てる。割とギターも 前面に押し出されていて、バランス的には悪くない。演奏的には 流石と言えるもので全く問題無いし、楽曲も割と良く出来ていて 聴きごたえはある。ボーカルがないのでやはり演奏的な部分を 強く押し出している訳だが、何度も聴くには疲れるかも 知れない。[84]

VIBRAUDOBLAST / VIBRAUDOBLAST

アメリカ人ギタリストMARTIN SCHWARTZによる ソロ・プロジェクトの2ndアルバム。STEVE VAI人脈の人だが、 このアルバムにはギター・アルバムという趣はない。もちろん プレイはたいした物だが、むしろこのアルバムは歌ものとしての 素養が強いだろう。楽曲は割とAOR系の当たり障りのないもので、 毒にも薬にもならないような物だ。ゆったりと落ち着いた感じの 作品で、インパクトはないが、出来としてはそれ程悪くない。 その分ギター・プレイで時たま聴かせるようにしているのだろう。 楽曲にもう少し魅力があると良かったのだが。[75]

INCESSANT DESIRE FOR PALATABLE FLESH / VISCERAL EVISCERATION

詳細は良く判らないが、恐らくオーストラリアの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの1994年に リリースされたアルバム。楽曲は全体的に大作指向で、 HANNES WUGGENINGのデス・ボイスも交えたクリア・ボイスが 中心となっており、これにゲストと思われるソプラノ・ボーカルが 絡んで来る。場面によってはそれ程耽美さは感じられず、より メロディック・デス・メタル的な感じのする部分がある。この メロディック・デス・メタル的な部分とは、解離した様な仰々しい ゴシック・メタル的な部分との差異が大きく、少し違和感を 憶える作品だ。[69]

TILL THE END OF TIME / VISION

フィンランドのギタリストLARS ERIC MATTSSON率いる ハード・ポップ・バンドのアルバム。北欧のミュージシャンらしい 憂いを帯びた叙情的なメロディの楽曲が並んでいる。芋臭さも 感じない訳ではないが、ポップで非常に聴きやすい作品に 仕上がっている。RANDOLPH REYMERSの鼻の詰まったような ボーカルもどことなくB級臭さを漂わせているが、澄んだ素直な 声なのでわずらわしく感じる程でもない。落ち着いた、奇麗な 小品がずらりと並んでいる感じで、特別これという様な 曲もないが、悪くない出来だ。北欧系ハード・ポップが好きな 人ならば結構聴けると思う。[80]

INVICTUS / VIRGIN STEELE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。作品的には 前作THE MARRIAGE OF HEAVEN AND HELLの2枚のアルバムの 続編という感じだが、非常にMANOWARっぽいサウンドに 変質してきている。元々MANOWARっぽさを感じさせる部分が 皆無ではなかったが、大仰なパワー・メタルである事ももちろん、 DAVID DEFEISのボーカル・スタイルやEDWARD PURSINOの奏でる ギター・メロディがMANOWARそのもなのである。その分B級臭さが 消えてある程度洗練されたとも言えるのだが、それは逆に VIRGIN STEELEらしさが感じにくくなったと言う事でもある。[77]

EXTREME MEASURES / VITALIJ KUPRIJ

ARTENSIONのウクライナ人キーボードによる2ndソロ・アルバム。 VITALIJ KUPRIJのキーボードはもちろんだが、ここで 特筆すべきは、ARTENSIONのボーカリスト、JOHN WESTの ソロ・アルバムやMOGG/WAYで素晴らしいギター・プレイを 聴かせてくれていたGEORGE BELLASだ。彼が参加した事によって、 前作と比べて、今作はよりヘヴィ・メタル然としたサウンドに 仕上がっている。VITALIJ KUPRIJのプログレッシヴかつ クラシカルなキーボードとGEORGE BELLASのネオ・クラシカルな ギターが渾然一体となった演奏は、非常に攻撃的で緊張感溢れる サウンドを聴かせてくれている。全曲 インストルゥーメンタルだが、このアグレッシヴなサウンドが 決して退屈させない。Chopin等のクラシックのピアノ曲等も 収められているが、何か特別にアイデアを持ち込んでいる 訳ではなく、そのままという感じなため、ピアノがうまいけど それ以上のものが感じられないのは残念だ。[84]

COMA RAGE / VIPER

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。彼等と言えば ANGRAのボーカリスト、ANDRE MATOSがかつて在籍した、 ジャーマン・パワー・メタル系のサウンドのバンドと言うのが すぐに思い浮かぶのだが、このアルバムではかつてのそのかつての 面影はまるでなく、チープな パンク・バンドになってしまっていると言って良いだろう。 ここまで来ると、バンド名を変えたら、等と思ってしまうだけに、 かつての彼等を期待するならば確実に外すとしか言い様がない。 楽曲もさして面白いとは思えないので、パンクが好きでなければ 到底お奨め出来ない作品だ。[54]

MANIACS IN JAPAN / VIPER

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた ライヴ・アルバム。1993年に行われた日本公演の模様を 収めたもので、その当時の最新作、EVOLUTIONと VIPERA SAPIENSからが半分以上を占めており、ANGRAの ANDRE MATOSが在籍していた頃のクラシカルなヘヴィ・メタル色は やや薄いと言っても良いだろう。THEATRE OF FATEとの差がやや 気になるところだが、その後の転身からするとまだ全然聴ける 方だ。バンドとしては一過性の作品でしかなく、それ故に ANDRE MATOSが脱退したのかも知れないが、2 Live Again、 Cry From The Edgeと言ったクラシカルな楽曲にはやはり独特の 魅力がある。PIT PASSARELLのボーカルはANDRE MATOS程うまいとは 言い難いが、それでも無難にこなしている。[80]

THE MAZE / VINNIE MOORE

アメリカ人ギタリストの5thソロ・アルバム。これまで同様、 いわゆるギター・インストルゥーメンタル作品で、方向的には 初期のクラシカルなスタイルにやや揺り戻した感じがある。一部の 楽曲を除けば、フュージョン的なエッセンスも感じるが、それでも 叙情的なメロディを強く押し出しているため、叙情派 ヘヴィ・メタルのファンにも前作よりは楽しめるはずだ。 エモーショナルギター・プレイは情感豊かで、 アコースティック・ギターを織り込んだりと中々聴きごたえのある アルバムに仕上がっている。楽曲の出来も悪くないし、美しい インストルゥーメンタル作品だ。[83]

NEVER STRANDED / VICK LeCAR

アメリカ人ギタリストの4曲入り、ソロ・ミニ・アルバム。間奏で 派手なギター・ソロを差し挟んで来たりするが、音楽的には いわゆるギター・アルバム的な作品ではなくて、きちんとした 歌ものの作品に仕上がっている。ハードでソリッドなサウンドの、 アメリカらしい渇いた感じのするグルーヴィな作品に 仕上がっている。どう言う経緯かは判らないが、ボーカルは全曲 JOE LYNN TURNERが取っており、彼の最近のブルージィな ボーカルが割と良く合っている。特にどうと言う事はない 曲ではあるが、のりが良くて雰囲気が良く出ているのは 評価できる。[77]

...FOR THE BLEEDERS / VISION OF DISORDER

アメリカのハード・コア・パンク・バンドの企画盤。 デビュー・シングルやコンピレーション・アルバムに提供した 楽曲等を集めた初期の音源集だが、新曲も3曲収められている。 Watch Out等、初期のものでは、スピーディで勢いのあるより ハード・コアらしいものであるのに対して、新曲ではうねりすら 感じられるようなグルーヴさがあり、初期のものと新曲では 方向性にやや変化が見られる。何となくダークさを湛え、鬱屈した 雰囲気は変らないので、違和感は聴いていてそれ程 感じられないが。この鬱屈したメロディが彼等のサウンドに独自の 色合いを付けていると言って良いだろう。[81]

VK3 / VITALIJ KUPRIJ

プログレッシヴ・メタル・バンド、ARTENSIONの中心人物である、 ウクライナ人キーボードによる3rdソロ・アルバム。前作では ギタリストにGEORGE BELLASが参加した事により、かなりメタル 然とした素晴らしいアルバムに仕上がっていた。今作では ギタリストとしてTONNY MacALPINEが参加しているわけだが、 クラシカルなギター・プレイで知られるだけあって、相性はかなり 良いみたいで、前作に負けず劣らず素晴らしいアルバムに 仕上がっている。特にVITALIJ KUPRIJとTONY MacALPINEの掛け 合いは緊迫感に満ち溢れており、合間合間の静かなパートとの 対比は見事と言う他ない。全編インストルゥーメンタルだが、 聴きどころ満載で、決して飽きさせないアルバムだ。特に Alternate Diversion等は、バイオリンまで入れたりと圧巻の 展開だ。[88]

VISION DIVINE / VISION DIVINE

イタリアのヘヴィ・メタル・バンド、LABYRINTHのギタリスト、 OLAF THORSENとRHAPSODYのボーカリスト、FABIO LIONEによる プロジェクトのアルバム。FABIO LIONEは元々LABYRINTHの ボーカリストだったし、キーボードのANDREW McPAULS、ドラマーの MAT STANCIOIUもLABYRINTHのメンバーで、元SHADOW OF STEELの ANDREA "TOWER" TORRICINIを除けばLABYRINTHのアルバムと 言っても良い様なメンバー構成だ。方向的にはLABYRINTHよりは ジャーマン・パワー・メタルがかっているが、それ程LABYRINTHと 掛け離れたものではない。LABYRINTHとRHAPSODYの中間と言った 様な作品で、楽曲はそこそこと言ったところだが、この手のものが 好きならばそれなりに満足出来るだろう。EUROPEの The Final Countdownがシークレット・トラックとして 収録されているが、完コピと言って良い仕上がりだ。[80]

THE JOURNEY / VINNY BURNS

イギリスのハード・ロック・バンド、元DARE、現TENの ギタリストによる初のソロ・アルバム。GARY HUGHESも一部の 楽曲を書いてはいるが、殆どの曲は彼自身によるものだ。TENの メイン・コンポーザーはあくまでもGARY HUGHESなので、 方向性としてはTENと幾分違うだろうと予想されたが、まさしく その通りでTENとはまた違った叙情的なメロディのアルバムに 仕上がっている。TENと比べると、ライトな感じのする爽やかな 叙情派アメリカン・ハード・ポップと言った感じだ。音の バランスが今一つ悪い様に思えるし、楽曲は飛び抜けた 楽曲はないものの、まんべんなく良く出来ている。[81]

EDGE OF TIME / VIGILANTE

日本のプログレッシヴ・メタル・バンドの2ndアルバム。叙情的な メロディのヘヴィ・メタルで、プログレッシヴ・メタルらしい 展開や難解さと言ったエッセンスも伺えるが、よりメタル然とした サウンドだと言って良いだろう。まだアイデアを 消化しきれていなくて、散漫な印象も受けるが、この手の バンドとしては決して海外のバンドにも負けていないだけの レベルには達している。丹羽英彰のボーカルは、割と ハイ・トーンを多用しているのだが、きちんと声が出ていて日本人 離れしていると言って良い程だ。叙情的なメロディの出来も 中々のものだし、悪くないアルバムだ。[82]

LIVE / VINNIE MOORE

アメリカ人ギタリストによる初のライヴ・アルバム。1999年に 行われたアメリカでのライヴの模様を収めたものだ。最新版の MAZEからの選曲が中心で、選曲的にはやや不満がなくもないが、 ネオ・クラシカル的なThe Thinking Machine等、そのプレイは 流石と思えるだけのものがある。演奏のみならず、 プロダクションも十分満足の行くだけのアルバムに 仕上がっており、ライヴならではの生々しさが、スタジオ盤より 臨揚感を出している。いわゆる ギター・インストルゥーメンタルのみなのだが、意外と 飽きさせずに聴かせてくれる。[80]

DAWN OF THE APOCALYPSE / VITAL REMAINS

アメリカのブラック・メタル・バンドの再結成第1弾となる 3年振りのアルバム。アメリカのバンドと言う事で、バックの サウンドには北欧のブラック・メタル系の様な荒涼感はなく、 ややスラッシィーでギター・メロディをところどころ打ち出して 来る事を除けば、ブルータルなデス・メタルと言ったところだ。 ブラスト・ビートを差し挟みながら、暴虐さを感じさせてくれる サウンドは、かつての彼等の姿を更に暴虐にした様でもあり、 激烈さを感じさせるアルバムに仕上がっている。いきなり アコースティック・インストルゥーメンタルの Come No Rap Of Lightが入ってきたりするが、これもこれで 悪くない。[81]

INNOCENCE FROM HELL / VIKING CROWN

アメリカのブラック・メタル・プロジェクトの2ndアルバム。 NECROPHAGIA同様、ANTON CROWLEYの名で活動する、PANTERAの ボーカリスト、PHILIP ANSERMOによるプロジェクトだ。ただただ ブルータルで凶悪さを発揮していたNECROPHAGIA違い、こちらは 北欧ブラック・メタル的な荒涼としたアンビエント性を 感じさせてくれる作品となっている。しかし、本編ともなれば ひたすら混沌とした凶悪さを見せており、より一層地下音楽的な 印象を与える作品となっている。カオスの様な暗黒を思わせる 絶望感を漂わせ、禍禍しくおどろおどろしいアルバムに 仕上がっている。[86]

VICK LECAR'S BLUE MOON / VICK LECAR'S BLUE MOON

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1stアルバム。ギタリスト、 VICK LeCAR率いるバンドで、彼はこれまでソロで活動していたが、 デビュー・ミニ・アルバムではJOE LYNN TURNERがボーカルを 取っていた事で特に知られている。方向的にはソロの延長線上とも 言えるもので、形式的にソロからバンドとしての形態を整えたと 言うところだろう。アメリカ的なブルージィな色合いがより前面に 出ており、ソリッドでエッヂの効いた作品に仕上がっている。 プロダクション面ではソロの時よりかなりよくなっているし、 楽曲の出来も悪くなく、のりも良い、聴き応えのあるアルバムだ。 [81]

FROM BLISS TO DEVASTATION / VISION OF DISORDER

アメリカのハード・コア・パンク・バンドの3年振りとなる 3rdアルバム。前作と比べると、そのハード・コア・パンク 然とした音楽性は大きく方向を変えている。企画盤の ...FOR THE BLEEDERSでその予兆は感じられたが、まさしくそれが 顕著に表れた作品と言って良いだろう。Itchin' to Bleedの様な 彼等らしい楽曲もあるが、全体的にうねりがより感じられ、 メロディを押し出した楽曲等は、オルタナティヴ・ロック等の 影響もあるのではないかと思える程だ。とは言え、彼等の サウンドのアグレッションは決して失われておらず、聴き 応えのあるアルバムに仕上がっている。[82]

VIRGO / VIRGO

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンド、ANGRAの元ボーカリスト、 ANDRE MATOSとドイツのパワー・メタル・バンド、HEAVENS GATEの ギタリスト、SASCH PAETHによるプロジェクトのアルバム。この 2人が組むのだからジャーマン・パワー・メタル的な 方向性になるのだろうと想像させるところだが、悪い意味でその 予想を裏切っていると言って良いだろう。シンフォニックで 落ち着いたヘヴィ・メタルで、メロディ自体には流石と 思わせるところもあるのだが、肝心の楽曲がつまらない。その上、 ANDRE MATOSのボーカルの弱さも浮き彫りになっており、何とも 中途半端な作品だ。[68]

INCESSANT DESIRE FOR PALATABLE FLESH / VISCERAL EVISCERATION

オーストラリアの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。 1994年にリリースされたアルバムをデジタル・リマスターと リミックスを施した作品だ。デス・ボイスとクリア・ボイスを 使い分け、ソプラノ・ボーカルを入れると言う、良く見られる タイプだ。ドゥーム・メタル系のゴシック・メタルがサウンドの 主流となっており、初期ANATHEMA辺りにも通ずる部分があるが、 そこにメロディック・デス・メタル的な邪悪さをより増した 感じだろうか。構成の悪さが改善された訳ではないが、音質が クリアになった分だけ、ゴシック・メタル的な耽美さが活きる 様になっている。[74]

CONCERTO GROSSO LIVE / VITTORIO DE SCALZI LA STORIA DEI NEW TROLLS

イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンドのライヴ盤。 ボーカリスト兼フルート奏者、VITTORIO DE SCALZI LAによる プロジェクト・バンドだが、実質はNEW TROLLSの5年振りに 再結成してのアルバムと言えるものだ。そのタイトルが示す通り、 CONCERTO GROSSO N.1とCONCERTO GROSSO N.2を中心としたもので、 トリノ・フィルハーモニー・オーケストラとの コラボレーションによる、オーケストレーションを押し出した、 シンフォニックで美しい叙情的な世界を築き上げている。 ベーシストは、元々メンバーではあったが、LABYRINTHの ボーカリスト、ROBERTO TIRANTIだ。[84]

SECRET VISIONS / VIRTUOCITY

フィンランドのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。KENZINERの ギタリスト、JARON SEBASTIAN RAVEN、CHILDREN OF BODOMの ドラマー、JASKA RAATIKAINEN、CONQUESTのボーカリスト、 PETER JAMES GOODMAN、TAROTのキーボード、JANNE TOLSAによる バンドだ。方向的にはネオ・クラシカル系のパワー・メタルで、 ややSTRATOVARIUSを思い起こさせる様なメロディも 配されているものの、あそこまで特徴的とは言えない。印象的な メロディがあったり、オペラティックなコーラスを入れたりと、 部分部分では悪くないのだが、楽曲を通してとなるとどうしても 持続出来ず、アレンジ力の不足を感じる作品だ。[79]

INNER DEATHSCAPES / VII ARCANO

イタリアのデス・メタル・バンドの2000年にリリースされた アルバム。方向的にはスラッシュ・メタル系のデス・メタルと 言えるもので、ハード・コア色が濃いと言って良いだろう。 ベースとなっているのはSLAYER型のスラッシュ・メタルだが、 ダークでアップ・テンポの楽曲にはヨーロッパのバンドらしい メロディものせ過ぎる事無く上手く加えられている。攻撃的な リフはグルーヴ感もあって、のりも良く感じられるし、 オールド・スクールのスラッシュ・メタルを上手く 取り入れながらも、独自の色合いを出していると言って 良いだろう。[82]

PIANO / VITALIJ KUPRIJ

ARTENSION、RING OF FIREのウクライナ人キーボードによる 3年振りとなる4thソロ・アルバム。とは言え、今回の作品は そのタイトル通りピアノ演奏によるもので、これまでのソロ 作品とは全くその趣旨は異なっている。ショパン・コンクールでは 最年少記録を作り、元々クラシック・ピアニストとして勉学を 始め、カーネギー・ホールで公演も行った事があるだけに、 クラシック・ピアニストとしての実力も疑う余地はない。 FRANZ LISTとFREDERIC CHOPINのソナタでその実力を如何なく 発揮されているが、クラシックを聴かない人が聴いて面白いと 思えるかは別だ。[80]

THE BOOK OF BURNING / VIRGIN STEELE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。半分以上が初期の 楽曲のリメイクで、それに新曲と未発表曲を加えた、言わば 企画盤的な作品だ。ここで聴かれるサウンドの大きな特徴は、今の 彼等と比べると非常にMANOWAR的な色彩が強い事だろう。ある 意味、オリジナリティがないとも言えるが、MANOWARと言われれば そのまま信じてしまいそうなそのクオリティは、現在の楽曲より 良いと言っても過言ではない。DAVID DEFEISのボーカルも、高音は 流石に出ないものの、スタイルは明らかに意識していると 思われる。ドラマティックで臭い位の正統派ヘヴィ・メタルで、 結構格好良い。[81]