SPIRITUAL BEGGARS / SPIRITUAL BEGGARS
メロディック・デス・メタル・バンド、CARCASSの元ギタリスト、
MICHAEL AMOTT率いるスウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの
1994年にリリースされたデビュー・ミニ・アルバム。元CARCASSと
言うことで、その手のサウンドを想像するかもしれないが、
ここでは実にブルージィなヘヴィ・ロックを展開している。
CATHEDRALのようなヘヴィネスさを持ち合わせているものの、
ああ言ったドゥームと言うよりは、もっとサイケデリックで
アメリカのバンド的なロックの香りがする。独特のグルーヴィで
サイケデリックな雰囲気がそこはかとなく漂い、一種独特の空気を
醸し出している。ファンからすると面食らう作品かもしれないが、
楽曲の出来も中々素晴らしく、今後の活動も期待出来るだけの
仕上がりだ。[86]
SPIRITUAL BEGGARS / SPIRITUAL BEGGARS
メロディック・デス・メタル・バンド、CARCASSの元ギタリスト、
MICHAEL AMOTT率いるスウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの
1995年にリリースされた1stアルバム。輸入盤では6曲入りの、30分
程度の作品だったのだが、日本盤ではそれにボーナス・トラックを
4曲加えてフルレンスとしての体裁を整えている。追加された
ボーナス・トラックは、楽曲の出来としては平均的と
言うところで特にこれはと言う楽曲はないのだが、
MICHAEL AMOTTの歪ませたギター等、サイケデリックで埃っぽい
バンドの本質を崩す所なく伝えている。[87]
BREAKING THE SPELL / SPELLBOUND
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
デビュー盤。いわゆる初期北欧メタル・バンドの一つとなる
訳だが、ボーカルのHANS FROBERGはその後、
プログレッシヴ・ロック・バンド、THE FLOWER KINGSの
ボーカルとして復活している。めりはりのあるソリッドな
ヘヴィ・メタルで、力強さを感じさせる勢いのあるサウンドだ。
Burning Love等は、その後の北欧メタルの代名詞とも言える、
哀愁を感じさせるメロディのナンバーで、北欧らしさも随所に
見せている。HANS FROBERGのボーカルはどちらかと言うと
パワフルさを押し出しているために、今一つ繊細な部分が
見えてこないのは残念だが、決して悪くない。[88]
ROCKIN' RECKLESS / SPELLBOUND
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
2ndアルバム。ツイン・ギターの片割れが抜け、代りにサックスを
フューチャーすると言うユニークな形態になっている。ワイルドで
美しいメロディを持ったバンドで、デビュー盤に比べるとかなり
アメリカナイズされている様な印象を受ける。全体的に売れ線で
ポップな楽曲になっている様に感じられるが、
プログレッシヴ・ロック・バンドのTHE FLOWERKINGに加入する、
HANS FROBERGのボーカルが、良くも悪くも洗練されていない様に
感じられる。北欧メタル的な哀愁さではデビュー盤に叶わないし、
売れ線といってもボーカルの芋臭さがいまいち合わないので、
どっちつかずという感じだ。[82]
TEST / SPHINX
アメリカのロック・バンドのデビュー盤。バンド名はともかく、
アルバム・ジャケットやタイトルはサウンドからすると
ちょっと違うのではないかと思える様な部分があり、そのセンスを
疑問に思わなくもない。内容的にはハードでグルーヴィさを
持っているが、ボーカル・ラインは妙にキャッチーな感じを
受ける。どことなくグランジ的な雰囲気も感じるが、
ギター・リフはよりヘヴィなものとなっている。全体的には
FREAK OF NATURE風だが、もっとめりはりがあって悪くはないと
思うが、これと言った楽曲もない。[82]
THE LIGHT / SPOCK'S BEARD
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのデビュー
盤。どちらかと言うとよりプログレッシヴ・ロックよりの作品で、
DREAM THEATER辺りとはまた一風毛色が違う。どことなくポップな
メロディを持ちながらも、緻密な展開をしていて中々の出来だが、
ある程度プログレッシヴ・ロックに免疫がないと
ハード・ロック系の人には苦しいかもしれない。割と起伏のある
楽曲なので、静かな部分で退屈しないければ聴けるだろう。
基調にはシンフォニック・ロック的な部分があり、
メロディ・センスは素晴らしいと思う。[88]
BEWARE OF DARKNESS / SPOCK'S BEARD
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの
2ndアルバム。今作より新メンバーとして専任キーボードに
日本人のRYO OKUMOTOなる人物を加入させてよりサウンドが
充実している。この手のものでは、より
プログレッシヴ・ロック色が強いサウンドで、YESや
KING CRIMSONの影響が見える。演奏はテクニカルで複雑だが、
主旋律自体は割と判りやすいメロディで、思ったより
とっつき易い。10分を超える曲が2曲あり、全体でも1曲を除いて
5分を超える対策指向的な部分がある。DREAM THEATERに比べれば
ヘヴィ・メタル的な色彩はあまりなく、割と
プログレッシヴ然とした作品が好きならば
良いのではないだろうか。[85]
FLAGRANTLY YOURS / SPIKE & TYLAS HOT KNIVES
元QUIERBOYSのSPIKEとDOGS D'AMOURのTYLAによる
プロジェクト・アルバム。TYLAがほとんどの楽曲を書いているが、
素朴で地味ながら味わい深いもので、それをSPIKEのしゃがれた
ボーカルで歌い上げるのだが、これがうまくマッチングしていて、
不思議な雰囲気を作り上げている。哀愁の効いた
Lost In A Crowd Of One等はその極致で、SPIKEのボーカルも
わずらわしく感じない。全体的に土臭いロックンロールだが、
何処となくどんよりとした侘しさを感じさせるブリティッシュな
匂いの強い作品だ。派手さはないが、しみじみとさせて出来は
良い。[83]
INK COMPLETE / SPASTIC INK
アメリカのテクニカル・ロック・プロジェクト・バンドの
アルバム。WATCHTOWERのRON JARZOMBERK、RIOTの
BOBBY JARZOMBERKという兄弟にRIOTのPETE PEREZというトリオ
編成で、全曲インストルゥメンタルになっている。元々
テクニカル・スラッシュとして名を成していたWATCHTOWERの
ギタリストだけあって、難解な作品だ。
To Counter And Groove In E Minor等、結構聴きやすい
曲もあるが、全体的に複雑な構成に変則的な楽曲で、いわゆる
ジャズ・ロックと言えるものだ。ヘヴィ・メタル的な色合いは
あまりなく、ギター・インストルゥメンタル的な要素が強い。[82]
MANTRA III / SPIRITUAL BEGGARS
ARCH ENEMYのギタリストMICHAEL AMOTT率いるスウェーデンの
ヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には
ヘヴィ・ロックをよりヘヴィ・メタル的な方向に持ってきた
感じで、BLACK SABBATH風の楽曲をよりサイケデリックに
奏でている。故にそれ程ドゥーム・メタルという感じはしない。
1970年代のBLACK SABBATHをよりサイケデリックで、
グルーヴィにすればこういう感じになるのではないかと思わせる
作品だ。特にEUPHORIAで見せるグルーヴィさは飛び抜けており、
そのヘヴィなのりは非常に素晴らしい。一種独特の世界であり、
受け付けない人もいるだろうが、楽曲の出来を含めて、
その完成度は高い。[87]
THE KINDNESS OF STRANGERS / SPOCK'S BEARD
アメリカのハード・プログレッシヴ・ロック・バンドの
3rdアルバム。この手のものとしては最もハードな部類に入る
サウンドで、全体的に非常にパワフルな印象を受ける
アルバムとなっている。前作より日本人キーボード奏者、奥本亮を
加え、一層充実した内容の作品に仕上がっている。デビュー当時に
比べるとYES的な空間の広がりを感じるような方向性に
向かっており、よりプログレッシヴ・ロック然とした
作品になっていると言って良いだろう。その分、良くも悪くも
以前よりも落ち着いた感じがよりするようになっている。[80]
ONE / SPEED
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。ダイナミズム
溢れる叙情的でメロディアスなヘヴィ・メタルで、ドライヴ
感のあるのりの良いヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。楽曲の
出来も良いが、それより生々しさが溢れる音作りが非常に
成功していると言って良いだろう。残念ながら捨て曲と言える様な
曲もあるが、全体的な楽曲のレベルは一定水準を超えている。
Burning Heartの様なバラード、So Many Tearsも思わず聴き
惚れるだけのものになっている。3人編成で、ギタリストの
KEN INGWERSENがベースも兼任しているが、技巧的には
素晴らしいだけに、アルバム中では気にならない。ドラマーの
OLE DEVOLDも十分うまいし、ボーカルのSTONEの歌声も格好良い。
[85]
SPIDER AND BETWEEN THE LINES / SPIDER
アメリカのロック・バンドの1980年にリリースされたデビュー盤、
SPIDERと、1981年にリリースされた2ndアルバム、
BETWEEN THE LINESをカップリングしてCD化したもの。HEARTの
ANN WILSON的な声質の女性ボーカル、AMANDA BLUEを
フューチャーした、エモーショナルなロック・アルバムだ。
1970年代的な古臭さを感じさせる部分があり、垢抜けていない
感じはどうしてもするのだが、出来的にはそれ程悪くない。
HOLLY KNIGHTのキーボードが結構表に出ていて、
アメリカン・プログレッシヴ・ハード的な色合いも感じる。[78]
DAY FOR NIGHT / SPOCK'S BEARD
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの4thアルバム。この
手のバンドとしては、よりプログレッシヴ色の強いサウンドで、
それは今作でも変っていない。ややYESっぽい感じのする、
プログレッシヴ・ロックがベースにあり、そこにハードな
味付けをしたと言った方が合っているだろう。これまでの作品と
比べると、テクニカル的な部分はより押え気味になり、ポップで
流麗で聴き易くなったと言う印象を受ける。しかし、そこは
プログレッシヴ・ロックらしいフックがあり、聴き流せてしまうと
言ったところはない。演奏レベルの高さは変わらないし、楽曲の
出来も悪くないが、逆にこれと言った曲もない。[81]
AD ASTRA / SPIRITUAL BEGGARS
スウェーデンのヘヴィ・ロック・バンドの4thアルバム。
ARCH ENEMYのMICHAEL AMOTTを中心としたバンドで、方向的には
サイケデリックなヘヴィ・ロックだ。これまでの作品と比べると、
ドゥーム・メタル的なエッセンスは薄くなり、よりテンポの良い
アルバムに仕上がっている。ストーナー・ロック的な
部分もあるが、そう言ったダウナー的な感じは一切しない。
1970年代的なヘヴィ・ロックに独自の解釈を付け、現代的な作品に
仕上げている。楽曲の出来は良いし、MICHAEL AMOTTの
ギター・プレイもこれより派手だし、BLACK LABEL SOCIETYと
並べて聴いても面白いだろう。[90]
NEW ROCK UNDERGROUND / SPACE AGE PLAYBOYS
元WARRIOR SOULのボーカリスト、KORY CLARKE率いるアメリカの
ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。KORY CLARKEの独特の
歌唱は変らず、彼のボーカルこそがWARRIOR SOULであったと
感じさせる作品だ。WARRIOR SOULのカルト性はここでも発揮され、
独特の雰囲気を作り上げている。彼のボーカルに合わせて
パンキッシュな楽曲が並んでおり、アグレッシヴで怪しい雰囲気に
溢れている。KORY CLARKEの扇情的なボーカルにかけている処理が
効果的で、聴きごたえのあるアルバムに仕上がっている。
WARRIOR SOULの二番煎じで終わるのでなく、よりキャッチーな
メロディを取り入れ、洗練されたより発展したサウンドを
聴かせてくれている。WARRIOR SOULのファンならば十分満足
出来るだけのクオリティを持っている作品だ。[90]
ANOTHER WAY TO SHINE / SPIRITUAL BEGGARS
スウェーデンのヘヴィ・ロック・バンドの1996年にリリースされた
2ndアルバム。アメリカのメロディック・デス・メタル・バンド、
CARCASSの元ギタリスト、MICHAEL AMOTT率いるバンドだが、
彼としてはかなり特殊な位置づけのバンドと言って良いだろう。
方向的には前作以上にブルージィなヘヴィ・ロックと言った
感じで、如何にも彼等らしい1970年代風の作品に仕上がっている。
埃っぽくて、サイケデリックで、CARCASSやARCH ENEMY等から
入った人は戸惑うかもしれないが、この手の作品としてもかなり
レベルの高いアルバムだ。楽曲の出来も、アルバムに満ち溢れる
雰囲気も素晴らしい。[85]
LIVE IN LONDON / SPACE AGE PLAYBOYS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。元WARRIOR SOULの
ボーカリスト、KORY CLARKE率いるバンドで、1999年に行われた
イギリスでの公演の模様を収めたものだ。アルバムはまだ1枚しか
出していないとは言え、WARRIOR SOULとして長年活動してきた
KORY CLARKEだけに、ここから伝わって来るそのアジテーションは
大したものだ。方向的には大きくWARRIOR SOULから
変っていないだけに、そのパンキッシュなサウンドには
非常にのりがあり、そういう点ではWARRIOR SOULよりもライヴ
映えする様に思える。WARRIOR SOULのファンならばKORY CLARKEの
ライヴ・パフォーマンスを聴ける唯一のアルバムだけに
必聴ものだ。決して上手いボーカリストではないが、その個性は
ここでも変らず光り輝いている。[90]
V / SPOCK'S BEARD
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの5thアルバム。この
手のバンドとしてはかなりハードな方で、
プログレッシヴ・メタルとも言える範疇に入るだろう。但し、
もっとプログレッシヴ・ロック然としている。ややフュージョン
的でメロディアスなALAN MORSEのギターに、奥本了のキーボードが
サウンドの中核をなしている。プログレッシヴ・ロックらしく
適度に変則的だが、楽曲はこれまでよりも全体的に聴き易く馴染み
易いものになっている。シンフォニックな色合いがありながらも
要所要所でハードなパートが入れられており、聴き応えのある
作品に仕上がっている。[82]
HERE COMES DEATH / SPEEDEALER
アメリカのハード・コア・バンドの2ndアルバム。実際には、
デビュー盤であるREO SPEEDEALERがボーナス・トラックとして
集録されており、言わばカップリングと言って良い作品だ。
デビュー盤のアルバムが示す通り、前作ではREO SPEEDEALERと言う
バンド名を名乗っていたが、この有名なロック・バンドをもじった
様な名前が災いし、バンド名の変更を余儀なくされている。
方向的には、パンキッシュな作品であるが、非常に
ハード・ロックンロール的な色合いを強く滲ませており、その
サウンドはヘヴィ・メタル的でもある。MOTORHEADを現代に
ソフィスティケイトした様なバンドだと言って良いだろう。[86]
SECOND SIGHT / SPEEDEALER
アメリカのハード・コア・パンク・バンドの3rdアルバム。
これまでと比べると、よりロックンロール的な部分が強く押し
出されており、ヘヴィ・ロック的なエッセンスも相俟って、非常に
パワフルでエッヂのたったサウンドとなっている。こう言った
アルバムは破天荒な勢いばかりが目立つ事が多いが、
場面によっては意外と憂いのあるメロディを前面に打ち出して
来たりして、情感も感じさせる深みと味わいがあったりもする。
こう言ったモダンなエッセンスを取り入れつつも、パンクとしての
荒々しいのりもあって、中々格好の良いアルバムに
仕上がっている。[85]
ON FIRE / SPIRITUAL BEGGARS
スウェーデンのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りの5thアルバム。
ボーカリスト兼ベーシストののSPICEが脱退し、GRAND MAGNUSの
ボーカリスト、JB、THE QUILL、FIREBIRDのROGER NULSSONが
加入している。これまでよりもドゥーム色の強いサイケデリックな
作品に仕上がっているが、ハモンド・オルガンの使い方を始め、
古典的なハード・ロックの香りがするアルバムとなっている。
そのため、ストーナー的な背徳的グルーヴ感が大幅に
減退しており、彼等が持っていた妖しい雰囲気があまり
感じられないのが残念だ。ブルーズ・ロック的なエッセンスも強く
出ており、全体的なレベルは高さは
間違いのないところではあるが。[86]