HERE COMES TROUBLE / SCATTERBRAIN

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。方向的にはミクスチャー的なエッセンスの 強いもので、ヘヴィ・メタルからヒップ・ホップ、ラップ、 ジャズ、果てはクラシックまで取り込んだ、非常にユニークな 作品と言って良いだろう。そんな中でも楽曲的には ヒップ・ホップ色が強く出ており、これにヘヴィ・メタルらしい 重厚なサウンドを付けるのが基本的な路線となっている。 METALLICAやAEROSMITH、LED ZEPPELIN等々、色んなバンドの曲を 少しずつだけ繋いだDown With The Ship(Slight Return)の おふざけ感覚こそ、このバンドの特徴を良く表しているだろう。 アイデアは面白いし、非常にユニークな作品と言えるが、 それだけに聴き手を選びそうな作品でもある。[80]

JAMES GORDON'S STORY / SCHWARZARBEIT

ドイツのプログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に リリースされた12年振りの3rdアルバム。前作に引き続き、 MEKONG DELTAのギタリスト、RALPH HUBERT、同じくMEKONG DELTAの ドラマーで、後にSTRATOVARIUSに加入するJORG MICHAELが 参加している。良くも今までバンドが存続していた 感心させられるが、むしろ実態はプロジェクトに 近いのではないだろうか。サウンド的にはMEKONG DELTA的な ヘヴィ・メタルのエッセンスは全くなく、シンフォニックな エッセンスも感じられる、純然たるプログレッシヴ・ロック 作品だ。叙情的で美しいメロディをエモーショナルなギターが 奏でる、幻想的で格好の良い作品で、中々素晴らしい内容だ。[85]

TAKEN BY FORCE / SCORPIONS

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1977年にリリースされた 5thアルバム。ULI JOHN ROTH在籍時最後のアルバムで、如何にも 彼らしい、エモーショナルなギター・プレイは随所に出てくる。 特にThe Riot Of Your Timeにおけるギター・プレイは 素晴らしい。方向的にはULI JOHN ROTH在籍時のアルバムらしい 作品で、1970年代では最もヘヴィでハードな作品でありながら、 彼等らしい叙情性とメロディも兼ね備えていた。古臭さを兼ね 合わせながらも、楽曲は非常にユニークでオリジナリティに 満ちている。アップ・テンポのドライヴ感溢れる楽曲は非常に格好 良く、攻撃的なアルバムに仕上がっていると言って良いだろう。 [89]

LOVEDRIVE / SCORPIONS

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1979年にリリースされた 2年振りの6thアルバム。ギタリスト、ULI JOHN ROTHが脱退し、 紆余曲折もあって3曲を当時UFOを脱退したばかりの MICHAEL SCHENKERが、残りを加入したばかりのMATHIAS JABSが リード・ギターを演奏している。クリエイティヴ面の中心は RUDOLF SCHENKERではあったが、区切り良くこの作品から方向性の 変化を見せている。ドイツのバンドとしては、最も成功を収める 事になる後期の彼等のスタイルが確立されつつある様子がこの アルバムには伺える。それ以前のよりエモーショナルなスタイルに 比べ、楽曲はより洗練されたものとなっており、縦のり的なリフも 用いる様になっている。言わば過渡期的な作品ではあるが、そこは 流石彼等が作るだけあってレベルの高さは間違いない。[84]

ANIMAL MAGNETISM / SCORPIONS

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた 7thアルバム。前作ではULI JOHN ROTHの脱退に伴ないその音楽性に 変化を見せ、リフを中心としたメロディアスなヘヴィ・メタルへと 変身していたが、今作ではその方向性がよりはっきりと打ち 出されており、彼等の後期のスタイルがこの作品で確立されたと 言って良いだろう。ULI JOHN ROTH在籍時のハードでダークな 陰鬱さを持つドラマティックな楽曲とは打って変わり、スッキリと 判り易いものになっている。ある意味、ストレートで コマーシャルな作品と言って良いが、そんな中にも彼等らしい ヘヴィな憂いを帯びたメロディは素晴らしく、この作品を契機に 大成功を得るのも納得出来るところがある。[87]

SAVAGE AMUSEMENT / SCORPIONS

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 4年振りの10thアルバム。基本的には前作の延長線上と 言えるもので、後期の彼等らしい作品と言えるだろう。しかし、 彼等にとって、リリースにこれだけのスパンが開いた事による 影響も感じられる作品だ。前作と比べると、楽曲はより深みを 帯び、しっとりとしたものになっており、その分逆に地味になった 様にも思える。なまじ最新のレコーディング環境であったためか、 作り過ぎの為に整い過ぎた作品と言う印象を受ける。とは言っても そこは流石彼等だけに、それに見合う楽曲が並んでいるし、内容は 十分満足出来るレベルだ。[85]

CRAZY WORLD / SCORPIONS

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 2年振りの11thアルバム。基本的な路線としては、これまで同様、 後期の彼等らしい作品と言えるだろう。前作では楽曲の出来は 良かったものの、作り過ぎで整い過ぎた印象を与える 作品になってしまった事の反省か、よりエッヂをを押し出した作品 作りがなされている。それ故、前作と比べるとダイナミズム溢れる 作品に仕上がっており、より聴き応えが出ている。米ソ冷戦の 終結に影響を受けて作られたバラード、Wind Of Changeと言った 名曲も有り、流石と言うだけの作品に仕上がっているが、楽曲の 出来にはやや波が感じられる。[84]

FACE THE HEAT / SCORPIONS

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3年振りの12thアルバム。方向的には後期の彼等らしい、 洗練されたメロディのヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。 しかし、ここ2作が売れ線方向に走っていると感じられる様な、 キャッチーさを押し出した作品であったのに対して、今作ではより ヘヴィなサウンド作りを前面に押し出していると言って 良いだろう。ただ、キャッチーさも決して除外している 訳ではなくて、このキャッチーさとヘヴィさの同居のバランスが、 際どいところかも知れない。最近の彼等がややソフト過ぎると言う 昔からのファンには受け入れ易い作品だろう。[85]

COLOSSUS / SCORN

イギリスのバンドの1993年にリリースされた2ndアルバム。 NAPALM DEATHの最後のオリジナル・メンバーだった、 現PAIN KILLERのMICK HARRISが作ったプロジェクト的なバンドだ。 その音楽性は、グラインド・コアでもなく、 デス・メタルはどころか、ヘヴィ・メタルでさえない。機械 処理された無機質な音の羅列が延々と続く、 デジタル・アンビエント・ダブだ。非常にアヴァンギャルドな 内容で解釈に苦しむアルバムとなっている。全体的に不気味な 雰囲気が漂っており、これを聴いて楽しむのはかなり難しい。[34]

TEAR OF THOUGHT / SCREAMING JETS

オーストラリアのハード・ロック・バンドの1993年に リリースされた2ndアルバム。いかにもアメリカ風と言った 感じの、ブルージィでちょっと土っぽい懐かしい感じのする メロディのロック・アルバムだ。Here I Go等、繊細で哀愁を 感じさせる楽曲は派手さはないが、扇情的でこの手のものとしては 珍しいタイプのサウンドで中々良い出来だ。しかし、それ以外の 楽曲となると、どことなく能天気な感じがして、そのギャップに 今一つついて行けない。STINGやオルタナティヴ・ロック的な センスも感じるのだから、もう少しそう言った所を生かせばかなり 良くなったと思えるのだが。[82]

WORLD WILD LIVE / SCORPIONS

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた2枚組 ライヴ・アルバム。LOVE ATH FIRST STINGでのツアーの模様を 納めたもので、当然MATHIAS JABSが加入後の楽曲が 中心になっている。そういう意味では、ULI JOHN ROTH時代の TOKYO TAPESと補完的な作品だろう。ほぼ、新しい三枚の アルバムから選曲されているわけで、大ヒット・アルバムからとは 言え、ULI時代が好きであった人間には選曲の点では 不満があるかも知れない。しかし、大ヒット作を 連発しただけあって、楽曲の質の高さは折り紙付きで、さすがと 言える作品だ。[83]

A TOUCH OF MADNESS / SCARECROW

アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。方向的には メロディアスなハード・ロックなのだが、ただ良くあるその手の バンドと違うのは、非常にワイルドでのりが良い事で、 ロックンロール調の曲等、楽曲もバラエティに富んでおり、 聴いていて飽きさせない作品だ。それ故叙情さはあまり 感じさせなくて、どちらかと言うとアメリカ風の厚くて若干 グラム・ロックっぽい音作りになっており、迫力の感じさせる アルバムに仕上がっている。これと言って飛抜けた 楽曲はないものの、平均的に良く出来ている作品ではある。[83]

LIVE BITES / SCORPIONS

ドイツが世界に誇るハード・ロック・バンドのライヴ盤。 MATTHIAS JABS加入を契機に彼等はそのスタイルをかなり大きく 変えている訳だが、このライブではそれらのMATTHIAS JABS 加入後の楽曲だけで構成されている。そう言った意味からも、 ULI ROTHの頃のライヴである、TOKYO TAPESと対と考えると丁度 良いのかも知れない。馴染み深いヒット曲で構成されているので 親しみはあるし、録音状況も良いのでこれはこれで良い ライブ盤だとは思う。しかしULI ROTH在籍時のファンからすると ハードなナンバーが少ない分だけ、印象の薄いアルバムかも 知れない。[81]

MENTAL RESERVATION / SCANNER

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの5年振りの3rdアルバム。帯には ジャーマン・メロディック・ファースト・メタルと 書かれてはいるが、いわゆるジャーマン・パワー・メタルの メロディセンスを残しているものの、どちらかというと正当派的な 路線だ。扇情的でアップ・テンポな楽曲は、リフ、メロディとも 良く出来ていてドラマティックなのだが、これといった 面白味がなく盛り上がりに欠けるのはいかんともしがたい。 まとまりに欠け、自らの音楽をまだ十分生かしきっていない 感じで、素材が良いだけにもったいない。[83]

SCHIZOPHRENIC CIRCUS / SCHIZOPHRENIC CIRCUS

スウェーデンのハード・ロック・バンドのデビュー盤。 ギタリストのSVEN JENS JENSONが=Y=のアルバムに参加したり、 ボーカルが元GLORY、MAC BETHのP-O SAETHERだったりするのだが、 系統的にはそう言ったそれらのメロディアス系のバンドとは一線を 画している。音楽的には骨太でブルージィーでグルーヴィーな サウンドで、アメリカ南部のバンドを想起させるような土臭い 雰囲気が感じられる。T.REXのカバーも彼等のカラーに合った 選曲と言って良いだろう。これと言った物はないのだが、楽曲の 出来も悪くないし、良く作られているアルバムだと思う。[80]

PURE INSTINCT / SCORPIONS

MATTHIAS JABS加入後ヒット・アルバムを飛ばし続けた彼等だが、 LOVE AT THE FIRST STINGまでと比べると、それ以降はどちらかと 言うとソフトな方向へ向かっていたし、彼等らしい哀愁というか 扇情感はあまり感じられなかった。取り分け大ヒットした CRAZY WORLDがそうで、あまり曲自体も面白いとは 思えなかったので、興味は引きかけていたが、この作品では 彼等らしい哀愁を十分味わえる作品になっている。バラードを 除けばそれほどソフトに感じないし、そういう意味では BLACK OUTやLOVE AT THE FIRST STINGに近い出来だと言えるが、 一方ではバラードが占める割合が大きいのは残念だ。バラードの 出来自体は悪いとは思わないが、これだけ多いと少々食傷 気味になる。とは言えメロディ・センスの良さはさすがと 思えるものがあるし、楽曲の出来がなによりも良い。[88]

HEADING FOR THE DREAM / SCAM LUIZ

ドイツのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。方向的には、ミクスチャーとも言える様な ファンキーでラテン色の強い明るいサウンドが中心の 作品になっている。メロディは非常にキャッチーで、楽曲ののりも 跳ねた感じで、グルーヴィな中々面白いものに仕上がっている。 Power Of Loveの様なしっとりと落ち着いた曲もあり、決して 一本調子ではないのが好感が持てる。その演奏は非常に テクニカルで、3人編成ながらサウンドの薄さは微塵も 感じさせず、レベルの非常に高いアルバムに仕上がっている。[84]

EVANESCENCE / SCORN

元NAPALM DEATHのMICK J.HARRISとNICHOLAS JAMES BULLENによる イギリスのエレクトロニクス・ダブ・ユニットの1994年に リリースされた3rdアルバム。このサウンドをどう表現したら 良いかは難しいが、NAPALM DEATHの様なグラインド・コアでも、 デス・メタルでもない、ダブによるエレクトリカルな作品だ。 静寂さと緊張感を持つ不思議な世界だが、NAPALM DEATHとは全く 毛色の違うこのアルバムをヘヴィ・メタル系のリスナーが聴いて 面白いと思えるかは謎だが、不快なだけの別ユニットの PAIN KILLERよりは十分聴けるだろう。[70]

DEVIL IN FAIRYLAND / SCHUBERT

オーストリアのシアトリカル・ロック・バンドの2ndアルバム。 シアトリカル・ロックといってもかなり多角的で、 Hell And Paradise等かなりヘヴィ・メタル然とした楽曲も数多く 取り揃えている。クラシカルなヘヴィ・メタルもあれば、 ロックンロール調のハード・ロックもあるし、SAVATAGE風の 壮大で扇情的なバラードを入れていたりとかなり多彩な 内容になっている。割とキーボードが効果的で良い 味を出しているし、ボーカルはかなり個性的だが扇情的で 面白い。ごった煮風だが、シアトリカルな楽曲が聴けるなら 悪くない作品だ。[80]

GYRAL / SCORN

元NAPALM DEATHのMICK HARRIS率いる、イギリスの アンビエント・ダブ・ミュージック・バンドの1995年に リリースされた4thアルバム。今作よりNICK BARRENが脱退して 完全にMICK HARRISのソロ・プロジェクトになっている。 それによりデス・ボイスも何もなくなり、陰鬱な シンセサイザーによるリフとサンプリングが延々と繰り返される、 インストルゥーメンタルのみで構成されている。こういう音楽を 理解できないからかも知れないが、どこが面白いのか全く謎で、 こんな作品が到底一般に受け入れられるとは思えないのだが。[8]

ELLIPSIS / SCORN

元NAPALM DEATHのMICK HARRIS率いる、 エレクトロニック・ダブ・ミュージック・バンドの1995年に リリースされたアルバム。内容的にはこれまでに発表された 音源を集めてリミックスしたものだ。単調で気だるいテクノ調の リフを延々と続けるのだが、これを面白いと思える人は 希ではないだろうか。とにかくアルバムを通しての変化のなさは リミックスされても全然変わらない訳で、はっきり言ってこれを 理解するのは難しい。アンビエンとで無機質な音が続く様は薄気味 悪くも感じられる。ダブ・ミュージックに興味がないなら 近づかないのが幸いだろう。[5]

TRAVELLINA IN ANEIENT TIMES / SCHEITAN

GATES OF ISHTARのドラマーOSKAR KARLSSONとTHE EVERDAWNの ボーカリストPIERRE TORNKVISTの二人組みによる、スウェーデンの デス・メタル・プロジェクト・バンドのアルバム。基本的に その他のパートはPIERRE TORNKVISTが全てこなしている。 GATES OF ISHTARやTHE EVERDAWNとは異なり、バックはメロディを キープしながらもかなりアップ・テンポのブルータルな雰囲気を 醸し出している。かなり破壊力を持った、EMPERROR等のような ブラック・メタル的なイメージで統一されているので、 GATES OF ISHTARやTHE EVERDAWNを期待するなら外すだろう。[78]

BERZERK 2000 / SCHEITAN

GATES OF ISHTARのドラマーOSKAR KARLSSONとTHE EVERDAWNの ボーカリストPIERRE TORNKVISTの二人組みによる、スウェーデンの デス・メタル・プロジェクト・バンドの2ndアルバム。1stが ブラック・メタル然としていたのに比べると、かなり THE EVERDAWN的な方向へと転換している。1stよりメロディを 中心に置いた作品で、おどろおどろしさを出しながらも美しさを 感じさせるのはさすがだ。特にゲストの女性ボーカル、 LOTTA HOGBERGが歌い上げていくSOULSIDEの構成力など、特筆に 価する。場面によってはしっとりと聴かせたりと音楽的広がりも 感じられ、1stよりかなり聴きごたえのある、素晴らしい作品に 仕上がっている。[89]

EYE II EYE / SCORPIONS

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。今まで築いてきた 方向性とステイタスを全面的に破棄するかの様なアルバムに 仕上がっている。もはや、ヘヴィ・メタルとは言えないような サウンドで、To Be No.1等はデジタル音が飛び出す始末だ。 Mind Like A Treeの様なヘヴィなナンバーもあるので、全く ヘヴィ・メタルらしさが無くなった訳ではないが、ファンとしては 戸惑うだろうし、賛否の分かれる作品だろう。メロディの端々には 彼等らしさが感じられるのだが、静かな軽い作品作りで、何故こう 言う方向へと向かったのかは理解しかねる。メロディの出来などは 決して悪いとは思わないし、サイド・プロジェクト的にこう言う 作品を作ったのであれば、それはそれで納得出来たのだろうが。 [76]

PAY FOR YOUR SINS / SCARLET WIZARD

詳細は良く判らないが、ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの 1997年にリリースされたアルバム。プロダクションはかなり チープだが、お世辞にも上手いとは言えないボーカルが、その感を より一層強めている。方向的にはメロディアスな正統派 ヘヴィ・メタルと言ったところだが、その仕上がりは今三位の 出来だ。ギター・メロディ等はフックがあって、悪くないだけに この辺りが改善されるだけで、随分良くなると思うのだが。 BLONDIEのCall Meをカバーしており、やはりチープなのだが、割と オリジナルに忠実な仕上がりになっていて悪くない。[76]

MOMENT OF GLORY / SCORPIONS BERLINER PHILHARMONIKER

ドイツのハード・ロック・バンドのアルバム。 過去の名曲を中心とした、ベルリン・フィルハーモニー 管弦楽団とのコラボレート作品だ。元々の楽曲にアレンジは もちろんなされているのだが、全体的にオーケストラに 合わせるためのアレンジと言う感じで、そう言う意味では DEEP PURPLEの手法に近いだろう。最近でのMETALLICAの場合とは 趣向が違うので、比較すること自体にはあまり意味がないと 思うが、それに劣らぬ素晴らしい作品であると言っても 過言ではないし、スタジオ録音だけあってプロダクションは こちらの方が上だ。どうせなら今ではなくて、ULI JOHN ROTHの 時代にこう言う企画をやって、彼がどう演奏するか 聴いてみたかった気もするが。[85]

ACOUSTICA / SCORPIONS

ドイツのハード・ロック・バンドのライヴ盤。今年、ポルトガルで 行われたアコースティック・ライヴの模様を収めたものだ。 バンドのメンバー以外にも、ギタリスト、キーボード、チェロ、 パーカッションと言ったゲストを迎えて上演されている。 アコースティック・ライヴらしい、しっとりと落ち着いた アレンジになっている。Catch Your TrainやAlways Somewhere、 Holidayと言った古い楽曲や、KANSASのDust In The Wind、QUEENの Love Of My Life、THE CARSのDriveと言ったカバー等、普段 ライヴでは演奏されていない楽曲が数多く演奏されているのも興味 深い。演奏、プロダクションともかなり良く出来ているし、 ライヴの臨場感が素晴らしい。[86]

SWEET OBLIVION / SCREAMING TREES

アメリカのロック・バンドの1992年にリリースされた 6thアルバム。音楽的にはカレッジ・ロックと言えるもので、 サブ・ポップ関連のバンドであるだけに、グランジや オルタナティヴ・ロックで語られる事も多いバンドだ。確かに オルタナティヴ・ロック色を感じさせる作品だが、この手の サウンドとしても歴史の古いバンドだけに、やや古臭い オーソドックスさも兼ね備えている。全体的にサイケデリックで 気だるさを漂わせており、1970年代的な雰囲気も醸し出した、中々 面白い作品と言って良いだろう。やや地味な作品ではあるが、 メロディは秀逸で楽曲の出来も悪くない。[80]

LUMINIFEROUS / SCARVE

フランスのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。デス・メタルと 言うと、類型化されているバンドも多いが、このバンドはかなり ユニークなタイプと言って良いだろう。ブラスト・ビートを交えた ブルータルなデス・メタルではあるが、クリア・ボイスと スクリームを使い分けている。DAVIN TOWNSENDに影響を受けたと 思しき、スラッシィな音の洪水と言った部分もあり、CYNIC辺りを 思わせるプログレッシヴな部分や、テクニカル・デス的な難解さも 持ち合わせている。先鋭化されたデス・メタルと言う感じだが、 その割にはメロディをきちんと据えており、もう少し小慣れて 来たら面白い素材だとは思わせる作品だ。[82]

DUST / SCREAMING TREES

アメリカのロック・バンドの1996年にリリースされた4年振りの 7thアルバム。前作ではオルタナティヴ・ロックの一派的な 扱いがされていたが、このアルバムを聴くと、彼等のサウンドの 本流が、決してそれだけにあるのではない事が良く判る。 気だるさを感じさせる楽曲だが、オルタナティヴ・ロックにおける 憂いと言うものはほとんど感じられない。このバンドの弱点は、 メロディ等に決してポップ性がない訳ではないのだが、内容自体が やや難解である事と、もったりとしたサウンドで、 アンダーグラウンド・シーンではともかく、どうしても一般 受けしそうにない事だろう。[78]