SUPERJUDGE / MONSTER MAGNET

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1993年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には、いわゆるストーナー・ロックと 言われる、トリップ感たっぷりのヘヴィ・ロックだ。後に引き 継がれていく彼等のスタイルはもう既にこの作品で 完成されている。グルーヴィな埃っぽいサウンドは、如何にも 彼等らしい1970年代的なエッセンスを現代に蘇らせた様な、 極彩色に彩られたアルバムだと言って良いだろう。ダウナー 系のドロンとした楽曲等は、非常に浮遊感が出ていて 素晴らしいし、ヘヴィ・ロックの傑作と言っても良い出来に 仕上がっている。[87]

COVENANT / MORBID ANGEL

アメリカのデス・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3rdアルバム。方向的には、ブラスト・ビートを前面に配した ブルータルなデス・メタルで、破壊力たっぷりのサウンドを 聴かせてくれている。複雑な構成で構築された楽曲で、 テクニカルな演奏を中心とした、テクニカル・デス・メタルとも 言える内容に仕上がっている。アメリカのデス・メタル・シーンで 確固たる地位を築いているバンドだけに、今更とやかく言う 必要もないだろうが、彼等の破壊的な攻撃性はここでも十分 現れているので、彼等のファンなら聴いても損はない。[82]

IN THIS LIFE / MORDRED

アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの1991年に リリースされた2ndアルバム。楽曲はややダークな色合いを 感じさせるもので、そのサウンドのベースとなっているのは、 スラッシュ・メタル的なヘヴィなリフなのだが、そこに ヒップ・ホップやファンクのエッセンスが振りかけられていると 言うユニークなものとなっている。特にそのリフはかなり クランチっぽいものなので、ややハード・コアっぽさも 感じさせるところがあるが、ギターの音色がかなり メタリックなので、メタル側のリスナーでも十分受け 付けるはずだ。[80]

KNOWING JUST AS I / MORGANA LEFAY

スウェーデンのパワー・メタル・バンドの1994年に リリースされたデビュー盤。全体的にスラッシィなリフが 配されており、スラッシュ・メタル的なパワー・メタルを 聴かせてくれている。それ故、北欧のバンドらしい叙情性よりも、 ダークな雰囲気が前面に出ており、オカルティックな雰囲気も 感じられる作品だ。METAL CHURCHとRAGE辺りのエッセンスを取り 入れ、オリジナリティを出そうとしている様にも感じられる。 ただ、まだまだ荒削りと言った感じで、アイデアを上手く 纏めきれていない様に思えるのが残念だ。NAZARETHのカバー、 Razamanzはまだアレンジが中途半端と言う感じを受ける。[78]

FACE OF DESPAIR / MORTAL SIN

オーストラリアのスラッシュ・メタル・バンドの1989年に リリースされた2ndアルバム。音楽的にはMETALLICAの フォローワーとも言えるものだが、この手のものとしては METALLICA的なエッセンスを上手く活かしながらも、 オリジナリティを出していこうとする姿勢が伺える。上手く ロックンロール色を出している事が、テンポの良さとのりを 出す事に繋がっているのだが、残念な事はそれ故に音がやや軽く 感じられる事で、如何にスラッシュ・メタル・バンドとしての ヘヴィさを出していくかが彼等の課題になって行く事だろう。[80]

* 4 ME / MOTHERLAND

イギリスのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。その実態はLED ZEPPELINのドラマー、JOHN BONHAMの 息子、JASON BONHAM率いるBONHAMがボーカリストを MARTY FREDERIKSENに代えたものだ。BONHAMが割とLED ZEPPELINの 流れを汲むサウンドを聴かせてくれていたのに対し、この作品では Sunshine Insideでそう言ったエッセンスは見えるが、かなり BONHAMとは方向性を大きく変えており、ある意味バンド名を 変更したのは正しいと言えるだろう。かなりダークな感じのする 作品作りが感じられ、1990年代のオルタナティヴ・ロックの影響が 感じられる。決して悪い作品ではないのだが、彼等にそう 言ったものを望むファンがどれだけ居るか疑問だ。[80]

GIRLS, GIRLS, GIRLS / MOTLEY CRUE

アメリカのハード・ロック・バンドの1987年にリリースされた 4thアルバム。元々L.A.メタルの先駆け的バンドとして 登場したが、前作辺りからよりハード・ロックンロール色の強い 作品作りがなされている。この姿勢は後にL.A.メタル後の新しい ムーヴメントとしてGUNS 'N' ROSES等の バット・ボーイズ・ハード・ロックンロールのバンド等へ引き 継がれて行ったと言って良いだろう。ワイルドでのりの良い ハード・ロックンロールでGirs, Girls, Girlsや You're All I Needと言ったシングル・ヒッとを産み出し、一つの 時代を築いたバンドとして相応しい内容のアルバムに 仕上がっている。[85]

RAW TRACKS / MOTLEY CRUE

アメリカのバット・ボーイズ・ハード・ロックンロール・バンドの 1988年にリリースされた企画盤とも言えるミニ・アルバム。 アルバムに収められているものとはバージョン違いのものが2曲、 メジャー移籍のため今はアルバムに収められていない、 デビュー盤のオリジナル・バージョンが2曲、ライヴが1曲、 Knock 'Em Dead, Kidの全6曲と言う構成になっている。色々な シングル等に散らばっている、アルバム未収録音源を 集めたもので、言わばコレクターズ・アイテムとも 言えるものだが、沢山の音源を集める事を思えば、ファンには有り 難い企画盤だ。[82]

DR.FEELGOOD / MOTLEY CRUE

アメリカのバット・ボーイズ・ハード・ロックンロール・バンドの 1989年にリリースされた2年振りの5thアルバム。彼等の集大成的 作品で、この頃が彼等の絶頂期とも言える時期と言えるだろう。 この後、ボーカリストのVINCE NEILと袂を分かち、坂道を転げ 落ちる様にパワー・ダウンしていったが、この作品では彼等らしい パワフルでエナジーに満ちたハード・ロックンロールを 聴かせてくれている。Dr.FeelgoodやKickstart My Heartと言った ワイルドなナンバーからTime For Change等と言った定番の バラードまで彼等らしい楽曲が満載されていて、彼等の ファンのみならずともハード・ロックンロールのファンには聴いて 欲しい作品だ。[88]

DECADE OF DECADANCE / MOTLEY CRUE

アメリカのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた ベスト盤。ベスト盤なので、集録されているのはこれまでの 作品からの再録が中心だが、リミックスされたものが3曲、新録が 3曲、ライヴが2曲収められている。Live Wireを始め、 デビュー盤から、くまなく選曲されているのが嬉しい。 新録のうち、Anarchy In The U.K.はSEX PISTOLSの有名な カバー曲だが、残りの2曲は新曲だ。特にAngellaは彼等らしい のりの良いメロディのハード・ロックンロール・ナンバーで中々 出来が良い。Red Hotと言った古い曲のライヴが 収められているのも貴重だ。[84]

MOTLEY CRUE / MOTLEY CRUE

アメリカのバット・ボーイズ・ハード・ロックンロール・バンドの 1994年にリリースされた5年振りとなる6thアルバム。VINCE NEILの 電撃的な脱退に伴い、JOHN CORABIが新しいボーカリストとして 加入したが、それに伴って大胆な イメージ・チェンジがなされている。全米No.1になりながら、 あっさりその音楽的方向性を捨てられる事には驚嘆出来るが、この 新しい音楽性はまさにJOHN CORABIのボーカルだからこそと言える 作品だ。これまでのワイルドでテンポの良かった楽曲は、 ミドル・テンポを中心とする事で、よりヘヴィでモダンな形に姿を 変えている。結局失敗に終わったこの方向転換だが、出来自体は それ程悪くない。ただ彼等がやる必然性もないし、こう言った 作品として特別優れたものとも言い難いところだ。[83]

QUATERNARY / MOTLEY CRUE

アメリカのバット・ボーイズ・ハード・ロックンロール・バンドの 1994年にリリースされたミニ・アルバム。アルバム未収録音源を 集めたもので、これはJOHN CORABI加入後の音源を集めたものだ。 元々海外では4曲入りのミニ・アルバムとして リリースされたもので、その他、デモや未発表曲等の全9曲と言う 構成になっている。JOHN CORABI加入後の音源ばかりと言う事で、 ハード・ロックンロール調の楽曲を期待すると外すとしか 言えないが、ここに収められているのは更に彼等らしくない曲だ。 ドラム・ループを使ったり、テクノ調のインダストリアル的な 楽曲も多く、アルバムが気に入らなかった人は決して聴かない方が 良いだろう。[78]

BASTARDS / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロックンロール・バンドの1994年に リリースされたアルバム。方向的には彼等らしいパンキッシュな ハード・ロックンロールで、LEMMYの決して上手いとは言えない しゃがれただみ声のボーカルが、パンキッシュな破天荒さと ワイルドさを出していて良い味わいとなっている。 Don't Let Daddy Kiss Meの様なバラードが途中に入ると、やや 流れが中断される様な気もするが、バラエティさも出す 事になっているので、痛し痒しか。1980年代は非常に低迷していた 彼等だが、前作辺りから復調してこの作品で結実したと言って 良いだろう。[86]

MOZART / MOZART

アメリカのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。音楽的にはQUEENのフォローワーとも言えるもので、 QUEENらしい甘いキャッチーなメロディに厚いコーラスが 特徴的だ。メインのボーカリストであるADAMのボーカルも透った 声質で決して悪くないが、FREDDIE MERCURYに比べればやや パンチが不足しているのはいがめない。同系統と言える VALENTINEやVALENSIAと比べると、より純然とQUEEN的な サウンドを追求しているので、QUEENのファンも聴いてみて 欲しいところだ。楽曲の出来も悪くないが、飛び抜けた 楽曲がないので、今一つ盛り上がりどころに欠ける感じはある。 [81]

ANDEN SOM GJORDE OPPROR / MORTIIS

スウェーデンのブラック・メタル・バンド、EMPERORの 元メンバーであるANDEN SOM GJORDEによる一人 ブラック・メタル・バンドのアルバム。方向的には、いわゆる シンフォニック・ブラック・メタルになるが、BURZUMのそれより 突き抜けている。世に邪悪なサウンドのバンドは数々あるが、 ある意味これはその中でももっとも邪悪なサウンドだと言って 良いだろう。キーボードのみで延々とオーケストレーションによる バロック調のサウンドをまるで葬送曲のように流し続ける。しかも 2曲で40分という超大作主義は、別の意味で泣かせてくれる。 これを一度聴いた後でもう一度これを聴こうとするのは、かなりの 決心がいるだろう。とにかくチープで、自宅で1日で レコーディングしたのではないかと思える様な作品だ。環境音楽 等が好きならば聴けるかも知れないが、お勧めしたくない。[9]

MADE IN GERMANY / MOTORBAND

チェコ・スロヴァキアのヘヴィ・メタル・バンドの1990年に リリースされたアルバム。バンド名から要らぬ 想像をしてしまいそうだが、半分は当たっている。メロディアスな ヘヴィ・メタルをやっているが、SAXON風の部分があり、そう言う 意味ではバイカーズ向けと言えるだろう。Kam Chces Vzit?の様な のりの良いロックンロール調のものもあるが、 King Za Velkou Louziで見せる扇情感や、バラードのGoodbye等、 心に染みる楽曲もあり、割と幅は広い。アップ・テンポの曲も 勢いがあって良いし、意外と掘り出し物的作品だ。チェコ語か スロヴァキア語かは判らぬが、ほぼ自国語で歌われているものの、 その割には不自然さはそれほどでもない。[86]

REISER AU EN BIMENSION UFJENT / MORTIIS

EMPERORの元メンバーによる一人 シンフォニック・ブラック・メタル・バンドで多分2ndアルバム。 いわゆるシンフォニック・ブラック・メタルとは異なり、 オーケストラとキーボードのみの構成で他は 一切ないというもので、楽曲は最近たまに見掛ける バロック調のものだ。2曲で52分と前作以上の大作主義だが、 構成が構成だけに盛り上がりがある訳でもない インストルゥメンタルの曲を長時間聴かされるのは苦痛だ。 チープな作りと言い、前作との違いを感じる事は全く出来ないし、 このようなアルバムを再び作られても笑えない。[13]

IN ABSENTIA CHRISTI / MONUMENTUM

詳細は良く判らないが、多分イタリアの プログレッシヴ・ゴシック・メタル・バンドのアルバム。陰鬱で ダークなサウンドに、ボーカルはMY DYING BRIDEなどで見られる 様な、抑揚の押さえたけだるさを感じさせる呟きの様な感じだ。 陰鬱ではあるが、プログレッシヴ・ロック風の難解なメロディは、 美しいと言うより不気味なダークさを感じさせる呪文の様で、 ホラー的なサウンドに仕上がっている。全体において音数は 少なく、スローな楽曲が延々と続くので、最後まで聴き続けるのは 少々辛いが、他のバンドとは一味違ったユニークさは買える。[68]

DOMINATION / MORBID ANGEL

フロリダのブルータル・デス・メタル・バンドの4thアルバム。 今やデス・メタル界に君臨するバンドの超怒級のデス・メタルと 言った感じの内容なので、デス・メタルはちょっとと言う人は 間違っても聴いてはいけないだろう。バックはそれほど ブラスト・ビートを使用しておらずグラインド・コア系と言う 程ではなく、むしろスラッシュ・メタルっぽい作品に 仕上がっている。破壊的と言うよりはまがまがしく、呪術的な 邪悪さが感じられる。非常にテクニカルで ブルータル・デス・メタルとしては飛抜けた出来の アルバムだろう。[84]

SACRIFICE / MOTORHEAD

20年近い活動を行ってきたイギリスのハード・ロック・バンドの アルバム。前作でメジャーからドロップし、アメリカはおろか 本国でもリリースされないと言う悲惨な状況な状況に 陥っていたが、前作では内容自体は久し振りに蘇った快作と言える 様な彼等らしいコアなサウンドを聴かせてくれていた。LEMMYの しゃがれ声は相変わらずで、サウンド的にも大きい 変化はないものの、今作は前作より更に攻撃的でグルーヴ感を 増した内容に仕上がっている。だがそれ故に全体的に一本調子な 感がいがめず、曲はどれも代わり映えしない様に聞える。[79]

REAL FAITH / MOODY MARSDEN

バンド名からも判るとおり、元WHITESNAKEの名コンビ、 MICKY MOODY、BERNIE MARSDENによるブルーズ・バンドなのだが、 これがまた何とも渋いアルバムだ。この手のアメリカのバンドの 様な泥臭さはなく、逆に洗練された渋さがプンプンと漂って来る。 楽曲はオリジナル中心でWHITESNAKEのかけらを微塵も 感じさせないところが好感を持てる。ブリティッシュ的なセンスと ブルーズ・ロック的なセンスが融合した良作だ。 ハード・ロック的な素養は低くWHITESNAKEを期待すると 外すだろうが、GARY MOOREのブルーズ作品よりは余程ロック色が 強い。[82]

SANCTIFIED / MORGANA LEFAY

北欧のスラッシュ/パワーメタル・バンドの3rdアルバム。リフを ザクザクと切り刻んで来る攻撃的なサウンドはかなり スラッシュ・メタル的な方向になっている。ミドル・テンポ中心で 前作と比べるとギター・パートなどは割合良く出来ているのだが、 全体的な楽曲の出来という事になると面白味に欠けるという印象を 受ける。ただ扇情的で緊迫感のあるメロディはドラマティックさを 増しているので、そういった部分を補って余りある位の 出来になっていると思う。とは言うものの、楽曲の練りが足りない 感じで、魅力は半減していると言わざるを得ない。[80]

TEMPLE OF THE LIFE / MOAHNI MOAHNA

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には 最近の洗練された北欧メタルとは違い、かなり古典的な ハード・ロックをやっている。その指向は明らかに初期RAINBOWを 意識した作品で、同じ方向性のTAROT等よりもそれはかなり 顕著である。北欧のバンドでそれにたがわず良い メロディ・センスをしており、RAINBOWの影響を良く 消化している。とはいうものの、その背景がやや露骨に見え 過ぎるのは痛し痒しだ。楽曲の出来などは割かし良いのだが、 RAINBOWのフォローワーと言う以上のものが見えてこない。 もう少しアップ・テンポの楽曲があった方がめりはりが 付いたのではと思うのだが。[82]

EVE / MOZART

アメリカのロック・バンドの2ndアルバム。一聴すれば誰でも そうと判る典型的なQUEENタイプのサウンド。同じQUEENから影響を 受けたVALENTINEやVALENSIAといったアーティストはQUEEN的な エッセンスを持ちながら、どこか独自の世界を持っていたが、この バンドはよりQUEEN的な方向性を目指した作品作りを試みている 様だ。コーラスはもちろんもろにその路線を行っていて、本家に 負けず劣らず素晴らしい。QUEENのコピーの域を脱していないとも 言えるが、それをやるだけのクオリティがあるのも事実だ。曲の 出来も1stより随分良くなり、十分評価に値する 出来になっている。[86]

DOPES TO INFINITY / MONSTER MAGNET

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。かなり サイケデリック色が強く出ており、ヘヴィなリフがうねる非常に グルーヴィな作品だ。サイケデリックな雰囲気はELECTRIC BOYSの 1stアルバムに、少しだけだがどことなく通じる部分もある。 一方でボーカルのタイプこそ違うものの、OZZY OSBOURNE在籍時の BLACK SABBATHの様なドゥーミィな感覚が端々にあり、より スペイシーで気だるい雰囲気が一種独特の世界を作りあげている。 ボーカルのエフェクト処理がより一層その感を強くしており、 呪術的で懐かしさを感じさせてくれる。[83]

MOON' DOC / MOON' DOC

元ACCEPT、SINNER、VICTORYのドイツ人ギタリスト、HERMAN FRANK 率いるヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。良いメロディを 持ちながら、ストレートで躍動感のあるサウンドを 聴かせてくれている。CHRIS BAYの扇情感のある声質はバンドの サウンド似は合っていると思うが、やや個性が強すぎる様な 気がしなくもない。HERMAN FRANKのセルフ・プロデュースだが、 荒々しさが良く伝わってきて、音作りの点ではこれは成功している 言えるだろう。楽曲もなかなか良い出来でこれは結構思わぬ 拾いものと言えるだけの作品に仕上がっている。[86]

THROUGH THE EYES OF THE WORLD / MONSTER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。MALLICE、 BLACK'N BLUEらの元メンバーによって結成されたバンドだ。 80年代っぽいキャッチーな楽曲のメロディアスな アメリカン・ヘヴィ・メタルながら、どことなく ブリティッシュっぽさを匂わせると言う、実に彼等らしい 作品に仕上がっている。飛抜けた曲はないものの、全てにおいて 高い完成度を持っているし、ラフながらソリッドでメリハリが 効いていて聴きごたえのあるアルバムだ。ゲストとして JEFF SCOTT SOTOが参加しているが、デモでは彼が メイン・ボーカルを取っていた様だ。[86]

PARIS IS DYING... / MOZART

アメリカ出身のVALENTINE、VALENSIAと並ぶQUEENのフォローワーで これが3rdアルバムとなる。VALENTINEやVALENSIAはQUEENや KATE BUSHが持つリリカルな部分をよりデフォルメしたような 音像であるのに対してMOZARTはよりロック的な部分を押し 出しており、今作では以前よりさらに大仰さを削り落とし、 ドラマティックな展開は出来るだけシンプルにしている。 もちろん、ボーカルやコーラスは相変わらず、 QUEENらしいのだが、随分聴き易くなった感がある。ここら辺は やはりアメリカ人とオランダ人の感性の違いだろうか。[82]

BLITZKREIG ON BIRMINGHAM '77 / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた ライヴ盤。デビュー当時のBIRMINGHAMで行われたライヴを中心とした 音源をCD化したものだ。音源的には致し方ないのかもしれないが、これ 位の長さのものとしては、途中で繋いでいるのも難点だし、何よりも 音質が酷すぎる。ブートかと思うほどの音質の悪さは どうしようもないとして、内容的にはレパートリーはほとんど デビュー盤からで、MOTORHEADの中でも割とロックンロール色がより 強いライヴ盤となっている。珍しいとすれば The Train Kept A-Rollin'のカバーをやっている事だろう。[70]

FOOL'S GAME / MORDRED

アメリカはベイエリアのミクスチャー・ロック・バンドの1989年に リリースされたデビュー・アルバム。後にはもっとヒップホップ、 ファンクへの傾倒が大きくなった印象があるが、ここで聴かれる サウンドは明らかにスラッシュ・メタル、ハード・コアを サウンドの軸としたアプローチであり、ミクスチャー的な印象は あまり受けない。唯一ミクスチャー的なアプローチを 行っているのは、スクラッチを取り入れ、ラップ的に歌う Super Freak位だろう。MEGADEATH程複雑さは 持ち合わせていないが、若干そういった印象を受ける。[79]

THE BEST OF MOUNAIN / MOUNTAIN

アメリカのブルーズ・ロック・バンドの1973年にリリースされた ベスト盤。巨漢ボーカリスト兼ギタリスト、LESLIE WESTと 元CREAMのベーシスト、FELIX PAPPALARDIを中心とするバンドだ。 彼等と言うとやはりMississippi Queenが代表曲と言う 事になるのだろうが、むしろこの作品ではBoys In The Bandと 言った、憂いを帯びたスロー・テンポのブルージィな楽曲が 中心となっている。CHUCK BERRYのカバー・ナンバー、 Roll Over Betthovenや、1分余りの インストゥルーメンタル・ナンバー、King's Chorale等、選曲も 中々面白い。[84]

OVERNIGHT SENSATION / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロックンロール・バンドのアルバム。 これまでの作品と比べると、若干の方向変換が見られ、やや ヘヴィでダークな雰囲気を醸し出している。依然として、 パンキッシュで疾走感を伴った楽曲も多いが、ミドル・テンポの I Don't Believe A Word等は今までからすると一風変わった 楽曲だし、タイトル・ナンバーのOvernight Sensation等は ロックンロール色がより強く押し出されている。全体的にモダンな 印象が強くなっているが、とはいえLEMMYの破天荒な ボーカル・スタイルは変わるはずもなく相変わらずワイルドな バンドだ。[80]

GET MOONED / MOON' DOC

ドイツのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 方向的には前作の延長線上と言えるものだが、よりエッヂの効いた サウンドに仕上がっている。CHRIS BAYのワイルドで扇情的な ボーカルは中々格好良いし、もう少し憂いが入れば PINK CREAM 69と言った感じの楽曲の出来もまずまずだ。 ミドル・テンポ中心で、洗練された楽曲になっているが、それ故に 変化が少なく盛りあがりに欠けるきらいもある。デビュー盤はもう 少しバラエティに富んでいただけに、その点では残念だ。 バラードやスピード・チューンがもう少し入ればかなり 良くなったと思うのだが。[81]

A NEW DAWN / MOON OF SORROW

詳細は良く判らないが、多分オランダの ゴシック/パワー・メタル・バンドの1985年にリリースされた アルバム。キーボード奏者を含む4人組みで、ギタリストの PATRICK HARREMANがボーカルを兼任している。 ファースト・ナンバーはあまりゴシック的な感覚は 強くないものの、アイデア的には悪くない。 ミドル・テンポのものは、ゴシックというにはやや荘厳さに 欠けるものの、浮遊感のある一風変わったサウンドだ。 パワー・メタルというには切れが無く、やや アイデア倒れという感がなくもない。ボーカルも中庸せっかくの アイデアも生かしきれていない。[70]

ENTANGLED IN CHAOS / MORBID ANGEL

フロリダのテクニカル・デス・メタル・バンドによる ライヴ盤。元々テクニカルなバンドであるだけに、演奏的に高度な 作品を出して来た訳だが、こうしてライヴを聴くと、改めてその 演奏のレベルの高さは驚くべきものだ。最初MCも、歓声も、 オープニングらしきものもなく始まるため、ライヴだとはまるで 気がつかない位だ。恐ろしく完成度の高い演奏力で、それを 堪能するだけでも十分価値はある。DAVID VINCENTとERIK RUTANが 脱退してしまったので、このライヴを維持できるかどうか 判らないのは少々残念だ。楽曲的にこの手のものはちょっとと 思われる人もいるだろうが、それにしても上手い。[86]

DESOLATION / MORATTI

カナダのハード・ロック・バンドのデビュー盤。VON GROOVEの ギタリストMLADENがプロデュースを行っているだけあって、 キャッチーなメロディのハード・ロックを聴かせてくれている。 どちらかと言うと軽くはないがソフトな曲調で、甘く優しい メロディは、アメリカのバンド風ではあるが、憂いを含んでいて、 どことなく突き抜けなくてもやっとした印象を受ける。これは特に 悪い意味ではなく、一つの音楽性として評価出来る性質のものだ。 バラードもそれなりに良く出来ていて、全曲そつなく 仕上げているものの、これと言った曲がないのが辛い。[81]

WHY / MOAHNI MOAHNA

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。 クラシカルな要素が強く、場面によってはRAINBOW風だったり、 ネオ・クラシカル系のバンド風のメロディも見せたりする。 ピアノはもちろんの事、オーケストラレーションを導入して よりクラシック的な雰囲気を作り出しているのだが、これが実に 一風変った印象を与え、実にいも臭いのだ。ボーカルのMARTINの 声質が、こういった風情を助長している。これを個性といえば そう呼べるかも知れないが、どれだけ一般受けするか疑問だ。 特に問題なのは途中にABBAのカバー・ソングKing Kong Songを やっているのだが、アルバムの流れから完全に外れている様に 思える。ただ、それでもキーボードを前面に押し出した サウンドはプログレッシヴ・ロック風で、非常に ユニークである事は間違いない。[79]

GENERATION SWINE / MOTLEY CRUE

L.A.メタル・バンドとして一時代を築いたバンドが オリジナル・メンバーでの編成に再び戻っての第一弾。 ということでVINCE NEILが戻って、旧来のサウンドに戻るのかと 思いきや、決してその様な事はなかった。全くないかというと 語弊があるのだが、ロックンロール色はあるものの、ヘヴィで ダークでノイジィなサウンドになっている。大幅に 機械処理されたボーカルは、JOHN CORABIを首にして、わざわざ VINCE NIELを呼び戻した真偽を疑うが、レコード会社の 意向だから仕方ないのだろう。かなりポップ色の強い作品で、 それなりには楽しめるとは思うが。[77]

LEGENDS OF TOMORROW / MORATTI

カナダのメロディアス・ハード・ロック・バンドの2ndアルバム。 ポップでしっとりとしたメロディは、派手さはないものの、 楽曲にはフックがあって聴き応えがある。どことなくヘヴィさを 醸し出しているLet It Out等は、サビは結構良く 出来ているだけに、そのアンバランスさが少々気になる。全体的に 叙情的で明るい作風ながら湿り気があり、いかにもカナダの バンドらしいセンスの良さが出ている。ただ、楽曲の出来はどれも 平均的で、全体的に変化が少なく、これといった曲が 見当たらないのも事実で、今一つ物足りなさが感じられる。[81]

DEVIL'S CANYON / MOLLY HATCHET

アメリカのハード・ロック・バンドの7年ぶりの8thアルバム。 土臭い南部の香りがする骨太なロック・アルバムで、主に ロックンロール調のものからブギー調のものまでいかにも アメリカのバンドらしいブルージィな作品に仕上がっている。 どちらかと言うと古臭ささえ感じさせる内容で、割と叙情的な センスもそこはかとなくある。メロディ・センスも割と 悪くないし、楽曲の出来自体は結構良い出来だ。 DANNY JOE BROWNのややパワフルなボーカルも楽曲に 合っているし、派手さはないがこれはこれで良い作品だ。[82]

MAN'S WORLD / MOUNTAIN

巨漢LESLIE WEST率いるアメリカのハード・ロック・バンドの 再結成第一弾となる11年ぶりのアルバム。大ベテランと 言えるだけのバンドだけあって、今更音楽性が変る訳はなく、 昔ながらのややブルーズ的な色合いを持った骨太の ハード・ロックを聴かせてくれている。それ故新味もないし、 インパクトもあまり感じられないのだが、昔懐かしい 作品になっておりその出来も安定している。そのパワーとのりは 左程落ちてはいないし、楽曲の出来も悪くないので、それなりに 聴きごたえのあるアルバムに仕上がっている。[80]

MONKEY SEE / MONKEY SEE

カナダのメロディアスなハード・ロック・バンドのデビュー盤。 ポップなメロディを礎として、時にはのりの良い ハード・ロック・チューンからAOR風の落ち着いた ロック・ナンバーまでやっている。時々はっとさせる メロディ・センスには非凡なところも見せているが、全体的に 見るとまずプロダクションがチープだ。所々印象的な叙情的な メロディが出てくるが、楽曲を通すと印象的で無くなるのは、 さびに今一つ面白味に感じないからだし、ボーカルが今一つ 不安定な感じがするのも難点だ。それでも、叙情的な ギター・メロディは結構良いし、アレンジ力がついて、 プロダクションが良くなれば結構良い作品になったと思う。[78]

EDGE OF THE WORLD / MOGG/WAY

MICHAEL SCHENKERを迎えての再結成UFOが空中分解した果ての姿が このプロジェクト・バンドだが、アルバム・ジャケットを見ると UFOをという名前で出したかったにもかかわらず、出来なかった ジレンマを感じさせる。PHIL MOGGとPETE WAYの二人で再出発した 訳だが、ドラマーには知る人ぞ知るAYNSLEY DUNBARが、 ギタリストにはJOHN NORUMが噂されたが、結局ARTENSIONの ボーカリストJOHN WESTのソロ・アルバムでプレイしていた GEORGE BELLASという実力派が揃う、玄人好みの中々豪華な 布陣になっている。再結成UFOのWALK ON WATERは今一つ 期待外れな作品だったが、こちらは期待を遥かに上回る出来だ。 まずとにかく楽曲が良いのはともかくとして、GEORGE BELLASの エモーショナルなギター・プレイが非常に持ち味を発揮していると 言って良い。UFOらしいポップさを持った楽曲に ネオ・クラシカル系のギター・メロディが不思議なほど 良くあっている。WALK ON WATERの出来を考えると、あの 空中分解はむしろ歓迎すべき事だ。望むべくはこのメンバーで 今後も活動してくれる事だ。[89]

MONARCH / MONARCH

EYEWITNESSのRALPH SANTOLLAと元TIDAL FORCEのJIM DORIANによる プロジェクト・バンドの1stアルバム。叙情的でキャッチーな メロディのハード・ロック・アルバムで、RALPH SANTOLLAの非常に 扇情的なギター・プレイとJIM DORIANの情感のあるボーカルが良い 効果を出している。EYEWITNESSの2ndではダークネスな方向へと 進み、ファンの落胆を買ったが、ここではそういったものは微塵の かけらもない。EYEWITNESSよりはもっとヘヴィ・メタル然とした サウンドで、楽曲、演奏、コーラスとどれも中々高い水準である。 やや艶めかしい音作りがされており、扇情感はより 強調されている。[85]

IRRELIGIOUS / MOONSPELL

詳細は良く判らないが、多分北欧の ゴシック/パワー/メロディック・デス・メタル・バンドで1996年に リリースされたアルバム。デス・ボイスとクリア・ボイスが 半々で、おどろおどろしい雰囲気を見せながらも、 パワー・メタルっぽいギター・メロディと重厚なサウンドを 構築している。ギター・ソロなどがちゃんとあり、それ故にかなり 普遍的な印象を受けるはずだ。それでも、ゴシックらしい耽美さを 残し、荘厳さもきちんと感じさせてくれる、かなり オリジナリティのある作品だ。変にダンサブルなナンバーを 入れているのはちょっと興が殺がれるが、楽曲のクオリティが もっと上がれば面白い存在だ。[74]

FINGER PAINT / MOTHERLODE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。SING SING等の メンバー等によって結成されたバンドだが、音楽的にはそれを 思わせる様なキャッチーな部分はほとんどなく、むしろやや シアトルっぽいメロディを持ち込んだ、今時のアメリカらしいと 言った感じのヘヴィ・メタルだ。ALICE IN CHAINSがかった うねりのあるメロディのグルーヴィなサウンドで、出来自体は 印象的で悪くない。ミドル・テンポ中心のうねりを感じさせる 様なものが中心だが、Innocenceの様なハーモニカを挿入した 渇いた叙情的なバラードを差し挟んだりしている。[80]

FORMULAS FATAL TO THE FLESH / MORBID ANGEL

アメリカのデス・メタル・バンドの5thアルバム。カリスマ的な 存在といえる、ブルータルなデス・メタル・バンドだが、それに 恥じない内容だと言って良いだろう。フロントマンの DAVID VINCENTが脱退し、ギタリストのERICも脱退とその先行きを 心配されたが、新しいボーカリストSTEVE TUCKERを加入させ 3人編成で再スタートを切っている。PETE SANDOVALの超人的な ドラミング、ブラスト・ビートを使い、テクニカルな作品を作り 上げており、混沌とした世界を生み出している。強烈なその サウンドは一般受けするとは到底言い難いがすさまじい存在感を 持っている。[85]

SNAKE BITE LOVE / MOTORHEAD

イギリスのベテラン・ハード・ロックンロール・バンドの アルバム。従来からパンキッシュで非常にハードでのりの良い ハード・ロックンロールをやっていた訳だが、今作でも大筋では その方向性は変わりない。サウンド的にはやや明るさを強調した 感じがあり、Love For Sale等は従来よりも軽く感じる位だ。 これまでよりは、よりポップさを感じるメロディが多く、その分 聴き易いと言えるかもしれない。Dead And Goneの様な しんみりとした楽曲も入れているが、かえって流れが 途切れてしまっている様な感じもしなくはなく、もっと破天荒な 楽曲だけに絞っても良かった様な気がする。[79]

SIN/PECADO / MOONSPELL

ポルトガルのゴシック/パワー・メタル・バンドの3rdアルバム。 耽美なメロディを配しながらも、アップ・テンポで重厚な サウンドを聴かせてくれるバンドだったが、今作では更にダークで 厳粛で呪術的な雰囲気を醸し出しており、非常に神秘的だ。 前作までは、ゴシック・メタルとパワー・メタルの融合と言う 部分でまだまだ試行錯誤している様に見受けられたが、今作では ついに自己のスタイルの確立に至ったと言って良いだろう。 叙情的なメロディに、ダンサブルなビート、民族音楽的な部分を 取り入れ、オリジナリティを確立している。一聴、単調にも思える 程、淡々と進んでいくが、その実中々凝っていて飽きさせない。 楽曲の出来も良いし、雰囲気に浸れる良い作品に作り 込まれている。[89]

POWERTRIP / MONSTER MAGNET

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの4thアルバム。 ストーナー・ロックと形容されるバンドだが、そのうちでは サイケデリック色は強くない方で、あっさりとした印象も受ける。 ややスペーシィな感じのする埃っぽいサウンドで、これまでと 比べるとややドゥーミィさが減退しているようにも思えるのが、 よりあっさり感を助長していると言って良いだろう。出来ればもう 少しグルーヴィさが欲しいが、全体的な出来は悪くない。特に 今までとは毛色の違う、19 Witchesの格好良さなどはたまらない 楽曲だ。メロディも非常に馴染み易いキャッチーさがあり、一聴 地味な感じもするかもしれないが、退廃感漂う、実に格好の良い 作品だ。[84]

MARCH OR DIE / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた アルバム。今作は彼等の作品の中でも最もロックンロール色の強い 非常にのりの良い作品に仕上がっている。特にそののりは ミドル・テンポのCat Scratch Feverでも決して失われる事無く、 グルーヴィとさえ言っても良い程の仕上がりだ。LEMMYの決して うまいとは言い難いだみ声のボーカルも、非常に味があって彩りを 添えている。Jack The Ripper等は非常にワイルドで格好が良い 楽曲で、リフ、メロディとも最近の彼等の作品としては特筆 出来るだけのアルバムだ。OZZY OSBOURNEとの共作で、 OZZY OSBOURNEのNO MORE TEARSにも収められた、映画HELLRAISERの サウンドトラックのために書かれたHellraiserが彼等の バージョンで収録されている他、アコースティック・バラードの I Ain't No Nice GuyではOZZY OSBOURNEとのデュエットを聴く事が 出来る。[86]

GREATEST HITS / MOTLEY CRUE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。注目すべきは 新曲のBitter PillとEnslavedの2曲だろう。前作、 GENERATION SWINEがVINCE NEILが復帰したにも関わらず、あまり 昔の面影が感じられなかったのに対して、今作はまだ彼等らしい 楽曲と言って良いだろう。のりの良い ハード・ロックンロールであるのだが、それでもこうしてベスト 盤の中に収められると、往年の彼等の楽曲に比べたらかなり物 足りなく感じられる。ベストの選曲はさすがにヒット曲がずらりと 並んでいるが、好み的にはもう少し初期の楽曲を増やして 欲しかった。JOHN CORABI時代の楽曲が1曲もないのは少々 笑えるが。[80]

DIVINE LUXURY / MODEST ATTRACTION

スウェーデンのクリスチャン・メタル・バンドの1996年に リリースされた2ndアルバム。MICK NORDSTROMの ハモンド・オルガンが全面に押し出されていて、非常に古臭さを 感じさせるサウンドだ。楽曲も、DEEP PURPLEやURIAH HEEPを思い 起こさせるものばかりで、1970年代にリリースされたアルバムと 言われても信用してしまうだろう。歌詞は確かに クリスチャン・メタルなのだが、その音像はSTRYPERと言った 様なものからは程遠い。CHRISTIAN LILJEGRENもIAN GILLANの様な シャウトをしたりと、1970年代のハード・ロックが好きな人には 訴えるものがあるはずだ。メロディが中々印象的で、楽曲も まずまずなので、そう言った系統が好きならば外す 事はないだろう。[83]

MOURNING WIDOWS / MOURNING WIDOWS

元EXTREMEのギタリスト、NUNO BETTENCOURT率いるアメリカの ハード・ロック・バンドの1stアルバム。ソロからバンド名義の 作品になったが、方向的にはEXTREMEよりソロ的な部分の方が 近い。ポップなメロディだが、EXTREMEのファンキーな部分は それ程なく、オルタナティヴ的な感覚を持ちながらよりヘヴィな 作品に仕上げられている。アルバム的な仕上がりはソロよりも ましだし、楽曲の出来も決して悪くないが、どちらかと言うと 地味な印象は拭えない。ポップでキャッチーなメロディは出来が 良いだけに、もう少し印象的な作品作りが 出来なかったのだろうか。[80]

DEEP / MOTHER SUPERIOR

アメリカのブルーズ・ロック/ヘヴィ・ロック・バンドの 3rdアルバム。方向的にはTHE BLACK CROWSに通ずる様な楽曲だが、 より古臭い1970年代風のアルバムだ。ハードな作品 作りがされており、サイケデリックな雰囲気がそこはかとなく 漂っており、全体に古臭さを非常に感じさせる。一種、ストーナー 的と言って良いアルバムで、骨太で、無骨な感じを受けるが、 意外とメロディを見せるときは見せている。ドゥーミィとも 感じられるヘヴィさは非常に好感が持てるし、楽曲の出来も 悪くない。おどろおどろしさも漂う演奏は昔に タイム・スリップした様で面白い。[84]

SILENT REIGN OF HEROES / MOLLY HATCHET

アメリカのサザン・ロック・バンドの9thアルバム。この手の バンドとしては、かなり重厚な音作りで、ハード・ロック系の リスナーにも結構聴ける作品になっているはずだ。楽曲自体は バンドの方向性に沿った、サザン・ロックらしい土臭い、 埃っぽいもので占められているが、どちらかと言うとより メロディを押し出した曲作りで、割と叙情的だ。特に タイトル・トラックのSilent Reign Of Heroes等は、非常に ドラマティックで美しいメロディの楽曲に仕上がっている。 PHIL McCORMACKのパワフルなボーカルも中々雰囲気に良く 合っていて、結構聴きごたえのあるアルバムに仕上がっていると 言って良いだろう。[82]

MODEST ATTRACTION / MODEST ATTRACTION

スウェーデンのクリスチャン・メタル・バンドのこれまでに リリースされた2枚のアルバム、THE TRUTH IN YOUR FACEと DIVINE LUXURYから選曲されリマスターされたベスト盤。新曲が 全く無いので、これまでのファンからするとありがたみの少ない 作品だ。このバンドでの活動後に、CHRISTIAN LILJEGRENと CARLIOHAM GRIMMARKがネオ・クラシカル・メタル・バンドの NARNIAを結成する事で知られるが、ARLIOHAM GRIMMARKAは2nd 発表後に加入しているので、このアルバムでは全く プレイしていない。MICK NORDSTROMのハモンド・オルガンが全面に 押し出されている、DEEP PURPLEやURIAH HEEPを思い起こさせる 作品で、NARNIAを期待するならば外すだろう。[81]

EVERYTHING LOUDER THAN EVERYONE ELSE / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロックンロール・バンドの2枚組み ライヴ・アルバム。1998年にドイツで行われたライヴの模様を完全 収録したもので、彼等の代表曲であるAce Of Spadesを始め、 Overkill等、ベスト盤的な選曲がされている。演奏は、如何にも 荒々しいと言う感じだが、それこそが彼等のサウンドであり、 彼等の魅力と言うものだろう。LEMMYのだみ声のボーカルも、 MIKKEY DEEのパワフルなドラミングも良い、味わいを出しており、 ライヴならではの魅力を味わえる作品に仕上がっている。 パンキッシュなハード・ロックンロールの中にも、意外と キャッチーなメロディがあって、ワイルドなアルバムだ。[83]

TURN IT UP / MOON DOG MANE

アメリカのハード・ロック・バンド、TESLAの元ギタリスト、 FRANK HANNON率いるバンドのデビュー盤。方向的には、TESLAと やや異なり、サザン・ロック色のあるブルージィな アメリカン・ロックだ。ピアニストのCHRIS MARTINEZが パーマネントなメンバーとしているだけでも、その方向性は 伺えるだろう。全体的にアコースティック・ギターを多用し、 素朴なアメリカン・ロック作品に仕上がっている。TESLAの ファンからすると、ハードでない分だけ物足りない部分もあるかも 知れないが、骨太で良いロック・アルバムに仕上がっている。[84]

SUPERSONIC AND DEMONIC / MOTLEY CRUE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのレア・トラック集。この 手のものとしてはお定まりのデモ・バージョンだけでなく、何と 言っても未発表曲が4曲も収められているのが嬉しい。特に Sinners & Saintsは明らかに初期の楽曲で、最もヘヴィ・メタル 然としていた2ndまでの雰囲気が良く出ているし、楽曲の出来も 中々良い。その他、NIKKI SIXX本物事件を歌ったSay Yeahや So Good So Bad、Mood Ringと言った未発表曲も出来は 悪くないし、ここ最近の作品よりは十分楽しめる 内容になっている。昔からのファンならば結構価値のある作品だ。 [83]

DIRECT REACTION NOW! / MONSTER VOODOO MACHINE

カナダのハード・コア・パンク・バンドのアルバム。その 方向性は、ハード・コアと言っても、かなり ハード・ロックンロール色の強いもので、勢いを感じさせる アルバムとなっている。ハード・コア的な色合いをあまり 感じさせないため、ハード・コアが嫌いなリスナーにも、 意外とすんなり聴けるかもしれない。グルーヴィでのりが良く、 パワフルな聴きごたえのあるアルバムに仕上がっている。楽曲の 出来も中々良いし、破天荒さも感じさせる、意外と良く出来た 作品だ。ワイルドでハードな土臭い、コアな ハード・ロックンロールが好きならば結構聴けるはずだ。[82]

JAILBAIT / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロック・バンドの1997年にリリースされた 2枚組みライヴ盤。20年以上にも渡る活動歴を持つパンキッシュで ハード・ロックンロール・バンドで、初期の彼等らしいライヴだ。 どこから出て来たのかかなり怪しい音源だが、収録曲等からすると IRON FISTリリース後でのツアーの模様を収めたものに 間違いない。音質は決してクリアとは言い難いし、ハウリングが 所々入って来たりするが、酷いと言う程ではない。Overkill等、 彼等の代表曲と呼べる楽曲も一通り揃っており、 The Train Kept A Rollin'がカバーされている辺りも興味深いが、 Ace Of Spadesだけが抜けているのは残念だ。[79]

1916 / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた アルバム。元々、勢いのあるかなりパンキッシュな ハード・ロックンロールを聴かせてくれていたが、今作でも長年 続けてきたその基本路線は変る事はない。アグレッシヴで攻撃的な サウンドで非常に勢いを感じさせる作品に仕上がっている。ただ、 かなりはっきりとメロディを打ち出しており、結構キャッチーな 印象を受けるところのある作品に仕上がっている。その一方で、 Nightmare/The Dreamtime等は、非常にメタル的で彼等としては 異色さを感じさせる楽曲もある。LEMMYのしゃがれたハスキーな ボーカルは健在で、不思議な魅力は相変わらずだ。[83]

CHOCOLATE BOX / MOGG/WAY

イギリスのハード・ロック・バンド、UFOの元ボーカリスト、 PHIL MOGGとベーシスト、PETE WAYによるプロジェクト・バンドの 2ndアルバム。メンバーは、ギタリストにEDWIN DAREの JEFF KOLLMANが加わっているのを除くと、ドラムがSIMON WRIGHT、 キーボードにPAUL RAYMONDとMICHAEL SCHENKERが抜けた為にUFOの 名前を使えず、こう言う形態を取ったと言うのが如実に伝わって 来る。前作ではGEORGE BELLASがネオ・クラシカル的な世界の 異質ながらも独自の素晴らしいアルバムを作り上げていたが、 今作はまだそれ程異質感はない。しかし、その割には楽曲は 凡庸で、PHIL MOGGのボーカルにも今一つマッチしておらず、盛り 上がりに欠ける作品となってしまっている。[79]

THE BUTTERFLY EFFECT / MOONSPELL

ポルトガルのゴシック・メタル・バンドの4thアルバム。元々より パワー・メタル的なエッセンスを取り入れたバンドで、前作はその 感性形態とも言える様な傑作アルバムで、同時にダンサブルな デジタル・ミュージック的な方向性への取り組みも見せていた 作品だった。今作では、そのパワー・メタル的な方向性をほとんど 削ぎ落とし、デジタル・ミュージック的な方向性をより強調すると 同時に、ゴシックっぽい雰囲気も強くなっていると言って 良いだろう。その分耽美的な色合いが薄れてしまい、全体的に バランスが悪い様に感じられる。FERNANDO RIBEIROのボーカルは、 デス・ボイスをより多用したものなってきている。[81]

LIVE:ENTERTAINMENT OR DEATH / MOTLEY CRUE

アメリカのハード・ロック・バンドの2枚組みライヴ盤。 1982年から1999年までの、オリジナル編成時でのライヴ音源から 編集したものだ。何と言っても興味深いのは、今ではライヴで 演奏されなくなった、初期の楽曲群だろう。特に1枚目は Ten Seconds To Loveを除いて、全て1985年までの音源で 占められている。曲間のMC等もうまく入れられていて、継ぎ接ぎの ライヴ盤であるにも関わらず、繋がりが全く気にならないのは 好感が持てる。エナジーを感じさせる作品で、貴重な音源も 含まれているし、ファンは必聴と言って良いアルバムだ。[88]

RAIN SHALL FALL / MORGANA'S KISS

詳細は全く不明だが、恐らくはイタリアの ゴシック/ヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。方向的には女性 ボーカルを前面に押し出したものだが、Eternal Flame等、 楽曲によってはかなりヘヴィ・メタル然としたものになっている。 とは言っても、NIGHTWISH程吹っ切ってしまった感じはなく、 まだまだゴシック・メタル的な雰囲気を随所に残している。 CLAUDIA MacDOWELLのボーカルは、割とストレートなボーカルで、 楽曲の方向性に負けぬ様な、パンチのあるタイプの透った声質の ボーカルだ。ややプログレッシヴ・ロック的な色合いもあり、 どちらかと言うと少しおどろおどろしいところがあって、 耽美だとか流麗な感じを求めるなら外すだろう。[81]

REALM OF LEGENDS / MOON'DOC

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。元ACCEPT、 VICTORY、SINNERのギタリスト、HERMAN FRANK率いるバンドで、 今作よりボーカリストがJURGEN WULFESに交代している。全体的に 受ける印象は、このボーカリストの交代によってかなり違って 聴こえる。JURGEN WULFESの声質は、パワフルで太い感じがする ヘヴィ・メタル的なボーカルで、その分キャッチーな 感じがなくなったが、叙情的なメロディをより際立たせるに 至っている。より扇情的でメロディアスなヘヴィ・メタル作品に 仕上がっており、これまでの彼等とはまた違った味わいがある。 [84]

MORWEN / MORWEN

詳細は全く不明だが、恐らくドイツのゴシック・メタル・バンドの ミニ・アルバム。方向的には流麗なタイプの ゴシック・メタルだが、かなり普通のヘヴィ・メタル的な色合いが 強いところがある。とは言っても、NIGHTWISHの様な タイプではなく、あくまでもゴシック・メタル的な流麗さが中心に 立っている。女性ボーカルのNICOLA KREUSERは割と透った声質で、 少しクリア過ぎて耽美さが足りないと言う気もするが、 悪くはない。素材自体は良いとは言い難いが、この 手のものとしてはかなり珍しいタイプで、オリジナリティは 感じられる。1995年に録音されたもので、バンド自体、もう既に 存在していない様な気がするが。[84]

WE ARE MOTORHEAD / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロック・バンドのアルバム。方向的には これまで同様、パンキッシュなハード・ロックンロールで、 如何にもワイルドと言った感じの作品だ。彼等特有の攻撃的で ワイルドな、ワン・パターンとも言えるサウンドは健在で、彼等の ファンとしてはそれ程期待を裏切る作品ではない。ザクザクと切り 込んで来るリフは小気味良く、のりの良さを出しているが、その 一方で決めに欠け、どことなく盛り上がりに欠ける 気がしないでもない。SEX PISTOLSのカバー、 God Save The Queenは、はまっていると言えばはまっているが、 ありきたりで面白味に今一つ欠ける様な気がする。[79]

FURNISHED SOULS FOR RENT / MOURNING WIDOWS

アメリカのハード・ロック・バンド、EXTREMEの元ギタリスト、 NUNO BETTENCOURT率いるバンドの2ndアルバム。方向的には EXTREMEやソロ、前作とはやや趣の違う作品となっており、より ヘヴィさを打ち出したアルバムに仕上がっている。彼らしい ファンキーさもあるのだが、それ程ファンキーさは強くなく、 味付け程度に付いている程度と言った感じだ。非常にグルーヴィで のりが良く、聴き手をぐいぐいと引っ張っていくだけのエナジーが 感じられる。ポップさもあるのだが、EXTREMEのときと比べると、 かなりヒット曲指向というのは低いので、そう言うものを 期待しない方が良い。[83]

NEW TATTOO / MOTLEY CRUE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。 L.A.メタル・シーンを牽引し、一躍スターダムに上り 詰めながらも、ボーカリストのVINCE NEIL脱退に伴う音楽性の 変化もあり長らく派手な活動がなかったが、VINCE NEILも復帰し、 今作では正に絶頂期の彼等と言った感じのワイルドな ハード・ロックンロールを聴かせてくれている。かつての ヒット曲の様な、印象に残るこれと言った飛び抜けた楽曲はない 様にも感じられるが、全体的に楽曲のレベルは高く、彼等の ファンとしては十分望むべく作品と言って良いだろう。[85]

GATEWAYS TO ANNIHILATION / MORBID ANGEL

アメリカのテクニカル・デス・メタル・バンドの6thアルバム。 ERIK RUTANが復帰して、彼が楽曲作りに大きく関与する 様になっているが、方向的にはこれまでと全く変らないと言って 良い様なブルータルなデス・メタルを聴かせてくれている。 PETE SANDOVALの叩き出すブラスト・ビートは驚異的で、この 手のものとしてはトップ・クラスだ。TREY AZAGTHOTHの不安感を 煽る様なギター・メロディに、唸る様な咆哮を聴かせてくれる デス・ボイスと変則的でテクニカルな楽曲は、この手のものが 好きでないと聴くのは苦しいだろうが、相変わらず凄まじいの 一語に尽きる作品だ。[83]

GOD SAYS NO / MONSTER MAGNET

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りとなる5thアルバム。 相変わらずサイケデリックで浮遊感のあるヘヴィ・ロックを 聴かせてくれているが、今作ではよりシンプルでソリッドな作品に 仕上がっている。グルーヴ感が減退した訳ではないが、そう言った 部分よりもメロディをより押し出した感があり、のりよりも 聴かせる事に注力していると言って良いだろう。この手の ヘヴィ・ロックでは良くマリファナを引き合いに出させるが、 トリップ感たっぷりのサウンドにはそう言う雰囲気がある。 幽玄の世界をさ迷うが如く退廃的な世界観は見事で、彼等らしい 雰囲気に満ちている。[84]

KINGDOM OF XII / MOLLY HATCHET

アメリカのサザン・ロック・バンドの12ndアルバム。如何にも アメリカ南部的なブルージィで土臭いサザン・ロックを 聴かせてくれている。特にPHIL McCORMACKの野太いボーカルが、 そう言った印象をより強いものにしている。ピアノを入れた ブルージィなロックンロール等は如何にもアメリカ的で、 ベテランらしい安定感のある作品となっている。One Last Rideの 様な、愁いの感じられるメロディの楽曲も、中々味わい深いものに 仕上がっている。ピアノ以外にもバイオリンを挟んだりしながら、 アメリカ的な土臭さをたっぷりと含んだアルバムだ。[82]

V / MOXY

カナダのハード・ロック・バンドの再結成第1弾となる23年振りの 5thアルバム。前作では、後にLOVERBOYを結成するMIKE RENOが ボーカルを取っていたが、今作では"MAX" B.MAXIMがボーカルを 取っている。しかし、23年振りとは思えないハードさとのりを 感じさせてくれる作品で、"MAX" B.MAXIMのワイルドなボーカルが グルーヴィ感をより増してくれている。方向的にはハード・ブギー 的な作品だが、アメリカのバンドと比べると、カナダの バンドらしい叙情さを感じさせてくれる。お世辞にも 洗練されたとは言い難い作品だが、ドライヴ感があって男らしい のりの出ているアルバムだ。[83]

TEMPLE OF THE SUNS / MOB RULES

ドイツのパワー・メタル・バンドの2年振りの2ndアルバム。その バンド名からBLACK SABBATHを思い起こすかも知れないが、そう 言ったエッセンスはないし、ドイツのパワー・メタル・バンドと 言ってもツー・バスを押し出した大仰な ジャーマン・パワー・メタルと言訳でもない。ジャケットを見ると ヨーロピアン・メタル的にも思えるがそう言う訳でもなく、やや 明るめのアメリカナイズされた正統派と言った感じだ。叙情的な メロディのヘヴィ・メタルで、エッヂが効いていて、出来は 中々のものだ。ただし、ボーカルがその楽曲のレベルに追い付いて 行っておらず、パワフルではあるがその粗が結構気になる。[78]

MONKEY HEAD / MONKEY HEAD

カナダのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。BULLETBOYSの ギタリスト、JASON HOOKを中心としたバンドだ。実際には1998年に 録音された音源で、バンド自体はJASON HOOKのBULLETBOYS等での 活動もあって休止状態になっている。1980年代のアメリカ的な フックのあるヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。明るく ハードでフックのある楽曲で、ドライヴ感に溢れるアルバムに 仕上がっている。そう言う意味ではBULLETBOYS的とも言える訳で、 JASON HOOKがBULLETBOYSに加入したのも頷けるところだ。 SIMON DAVIESのボーカルもパワーがあって、方向的には良く 合っているし、演奏のみならず楽曲の出来も十分満足出来るものに 仕上がっている。[83]

CROSSROAD MESSAGE / MOJOBONE

スウェーデンのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。 SPIRITUAL BEGGARDSのオルガニスト、PER WILBERG率いる DEATH ORGANに続くプロジェクト・バンドで、このバンドでは 彼自身がギタリストとボーカリストも兼任している。1970年代的な ヘヴィ・ロックの現代におけるオマージュと言う点では SPIRITUAL BEGGARDSと同じなのだが、SPIRITUAL BEGGARDSと 比べると、ストーナー・ロック的なエッセンスはなく、もっと シンプルで土っぽいブルージィな作品に仕上がっている。特に PER WILBERGのプレイはあくまでギター中心で、キーボードは あまり表に出て来ていないだけあって、そう言った感が強く 感じられる。オーセンティックでグルーヴィさが良く出ており、 リフ等も一風変わっていて面白い。ギターもボーカルも中々 上手く、PER WILBERGがマルチ・プレイヤー振りを発揮している。 [84]

ENSLAVING MESSES / MONSTROSITY

アメリカのデス・メタル・バンドの2枚組のアルバム。1991年に リリースされたデビュー盤、IMPERIAL DOOMとデモ音源からなる アルバム、CRAVE THE BLOODと、アメリカでの公演の模様を収めた ライヴ盤、STAGE OF DECAYと言う構成になっている。 CRAVE THE BLOODでは全ての音源が1990年から1994年にかけて 録音されたもので、ボーカルは全てCANNIBAL CORPSEの GEORGE "CORPSEGRINDER" FISHERが取っている。フロリダの バンドらしい、ブラスト・ビートを使ったブルータルで テクニカルなデス・メタルだが、ライヴでもきちんと 再現されている。[80]

HAMMERED / MOTORHEAD

イギリスのハード・ロックンロール・バンドの2年振りの アルバム。LEMMYのしゃがれたボーカルがある限り、方向的には 今更変わるはずもなく、相変わらずの彼等らしい、疾走感 たっぷりのラフなハード・ロックンロールを聴かせてくれている。 今作では意外とメロディアスな部分を強調しながらも、 パンキッシュな疾走感をより強く押し出したものに 仕上がっており、彼等の魅力がデフォルメされている様に 感じられる。これと言った決めになる楽曲が今一つないのは 残念だが、それでも最近の彼等の作品としては優れた作品と言って 良いだろう。[84]

MAELSTROM CHAOS / MORK GRYNING

スウェーデンのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 方向的には、狂暴なブラスト・ビートと、キーボードを取り入れた 荒涼なメロディと言う、如何にも北欧のブラック・メタルらしい サウンドと言って良いだろう。荘厳さと邪悪さを醸し 出しながらも、アコースティック・ギターやバイオリンを上手く 取り入れ、非常にドラマティックな作品に仕上げているのが 特徴的だ。キーボードはこの手のものらしく、ややチープに 感じられるものだが、キーボードの露出はそれ程大きくせず、 その分メロディアスなギター・メロディで補っている感じで、 それが功を奏していると言って良いだろう。[82]

IMAGINARIUM / MORIFADE

スウェーデンのパワー・メタル・バンドの3年振りの2ndアルバム。 音楽的にはジャーマン・パワー・メタルの影響が感じられる北欧 メタルと言ったところで、SONATA ARCTICAやSTRATOVARIUSの流れを 汲むバンドと言って良いだろう。厚いコーラスの入れ方や、大仰な ドラマティックさ等はジャーマン・パワー・メタルの影響が見え 隠れするが、よりシンフォニックで扇情的なメロディを押し出して 上手くアレンジされており、それ程芋臭さは感じられないのが 好感を持てる。楽曲自体はやや平凡な感もあり、もっと アクセントと魅力が出てくれば面白い存在になると思える。[82]

LOCKED AND LOADED / MOLLY HATCHET

アメリカのサザン・ロック・バンドの18年振りの2枚組ライヴ盤。 2002年に行われたドイツでの公演の模様を収めたものだ。如何にも 彼等らしい、骨太で泥臭く、パワフルなサザン・ロックを 聴かせてくれている。ドライヴ感があり、ノリが良くて聴き 応えのあるライヴで、彼等の実力の高さを感じさせてくれる ライヴだ。デビューから四半世紀たった大ベテラン・バンドだが、 そんな事を感じさせない男臭いワイルドさと同時に、独特の渋みと 哀愁を感じさせてくれる。これだけエネルギッシュな ライヴをやられると、サザン・ロックのファンなら、もう後は 聴くしかないと言う感じだ。[84]

INHUMANITY / MORS PRINCIPIUM EST

フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。基本的にはオーセンティックなヘヴィ・メタルを バックに配した、IN FLAMES以降のオーソドックスな北欧 メロディック・デス・メタルと言えるものだ。キーボードも 交えてくるのでCHILDREN OF BODOMっぽい部分もあるし、やや 耽美感を強く押し出す部分もある。とは言え、新味感に 欠けるので、今一つ盛り上がれないところもあるのは確かだ。 ただし、この手のものとしては楽曲、演奏ともかなりレベルの高い 方で、この手のメロディック・デス・メタルが好きならば聴いて 損はないだろう。[83]